創造主です~

「ん? 知り合いなのか?」

 マルシーンはそう言いながら「彼」を助け起こした。知り合い……ではない。よく知ってはいるけれど。そう、彼は「パドマル」の日本運営プロデューサーの柿川だ。

 

 「パドマル」では時折動画配信をやっていて、彼は毎回出演していた。そんな柿川を、プレイヤーは「柿P」と呼んでいる。なぜ彼がここにいるんだろう……。

「あ、ありがとう」

 柿川はスーツの汚れをはたきながら言った。

「ところで……君たちはなぜ、僕を『柿P』だと?」

 これまでの経緯を説明すると彼は肩をがっくりと落として言った。

「まじか……」

 いや、ほんと「まじか」だよ……。それは僕も思ってるよ。

「柿Pさん、どうしてスーツなんですか?」

 シャイラが聞いた。

「いや、ちょっと長期メンテに入っちゃってね。色々報告しないといけないところがあったんだよ」

 その報告めぐりでふっと疲れを感じた瞬間、この世界にワープしていたらしい。なんとも気の毒な。主にメンテ明けを待っているプレイヤーが。

「で、これ。だれ?」

 とマルシーン。

 毎度のことながら、彼にこのことを説明するのには躊躇ためらいがある。

 ゲーム「パドマル」。

 それを制作している側の人物だと言葉を選びながら説明した。

「これはこれは。創造主様」

 皮肉の混じった仕草でマルシーンは柿川にお辞儀をした。


 柿川をこのままにしておくわけもいかず、街へ共に戻ることになった。

 どうしよう、また増えてしまった……。

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