なんだかおかしいですよ?

 共に食事を進めながらふと気がついた。シャイラはどうして僕がこっちにきたことを知っているのだろう。

 聞いてみると、

「噂で聞いたんです、やたら強い魔術師がいるって」

 と、彼女は答えた。

「へぇ……」

 いびつな時間軸。

「その……」

 シャイラが続けた。

「その魔術師が『マモル』って名前なのは偶然聞いて……」

「ふむ」

「探してもどうしても見つかんなくって、ようやく足取りを掴んだのが昨日なんです」

「シャイラはこの世界で目覚めてどれくらい経つんだ」

「……一ヶ月くらいかなぁ」

 いや、それはおかしい。先週、シャイラとゲーム内で会話した記憶がある。なんのことはない、他愛のない会話。あのシャイラと、今ここにいる彼女は違うのだろうか。


 ここはなにかが違う。

 漠然ばくぜんとした不安が胸をよぎった。

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