第34話 葛藤
今でも発作が起こった時のお母さんとお父さんの顔が忘れられない。
まるで知らない生き物に会ったようなあの顔。
その後に言われた言葉も私は忘れない、ううん、忘れられない。
だから、もう自分が傷つかない様にするために、これが一番いいんだと思う。
寂しくなんか、ないよ。
大丈夫。
コンコン
またメリスが来たのかな?
諦め悪そうだもんね。
「遊ばないって言った。1人で遊んで。」
「メリスじゃないよ。」
「!?ごめんなさい。今ドア開けます。」
ティアさんだった。
まだちゃんと話したことないから、どうしたらいいかわからない。体に綺麗な石みたいなのがついてるからちょっと怖いし。
「急にごめんね。ご飯ができたから呼んだんだけど全く返事がなかったから心配でね。」
「すみません。気づかなくて。」
「大丈夫だよ。さ、冷める前にご飯にしよう。」
「はい。」
温かいご飯は久しぶりかもしれない。
奇病になったとお母さん達にばれてゼフラ町に来るまでの間、ご飯はパンとか簡単な物だったから。
それでも5日ぐらいだけど、久しぶりな気がする。
「美味しそう。」
「遅いよメリスー!早く、早く!!冷めちゃうよ?」
「うん。」
「さて、食べようか。」
「「「いただきます!」」」
ティアさんが作ったご飯はすごくおいしかった。
これが毎日食べられるのは幸せかもしれない。
しかも久しぶりに人と話しながらごはんが食べれたのも嬉しかったし、楽しかった。
でもやっぱり考えちゃう。私の発作が起こったら迷惑がかかるし、優しい2人には傷ついて欲しくない。
だから…
だから私は、2人に近づいちゃいけない。
「ごちそうさまでした。先に部屋に戻ってます。」
「もういいのかい?まだお代わり残っているよ?」
「大丈夫です。」
「そうかい。あとでお風呂も入っちゃいなね。」
「あ!そしたら一緒に入ろうよ、リアン!」
「ごめん、今日は一人で入りたい。」
「そっか、じゃあ明日は一緒に入ろうね!」
「そうだね。」
はぁ、2人ともいい人たちだからつい一緒にいたくなっちゃうけど、迷惑をかけないように、私の発作を見られないようにしないと。
私はここを追い出されたら行くところがないんだから。
奇病になんてなりたくなかった…。
-続く-
読んで頂きありがとうございます。
リアンの過去、想いを一緒に追っていただければと思います!!
少しでもいいなと思ったら♡や☆、コメントをおねがいします(*´ω`*)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます