Side リアン

第32話 衝動




衝動が体中に走る




”ただ人を殺したい”







この衝動に悩まされてきた私の人生なんて嫌いだ。

他の物では消すことができないこの衝動。

必ず対象は ” 人 ” じゃないといけない。

無機物はもちろん、動物でもこの衝動は抑えられない。


何回自分を殺すことができれば、と考えたことか。




『奇病持ちは発症すると”ゼフラ町”という隔離された町に強制的に連れていかれる。

これは発症すると治らず、周りにどんな影響があるか分からない。そのため、国での対策ろしてはある町での隔離とした。その町は国のはずれに位置し、奇病持ちのみ住むことが許されている。食糧等は政府によって決まった曜日に配達され、希望があれば都度対応している。その他―』





お兄ちゃんが授業で習って来て、持ってた教科書にもそう書いてあった。

奇病は治らないけどうつることはないって。

でもみんなは怖がりだから、町を作って集めて管理してるんだって。

その町に連れていかれたらもう二度と家族には会えない…って。


奇病がうつったりなんてしたら怖いから…



奇病って他の人にはうつらないみたいだし、そんなに怖がらなくてもいいと思わない?

でもさ、人間は怖がりだからしょうがない、そう言われてそれ以上考えるのを辞めた。






もっと家族と一緒に過ごしていたかった。






お母さんとお父さんともっとお話ししたかった。

お姉ちゃんとも遊びたかったし、お兄ちゃんからはもっと勉強教えてほしかった。





あぁ、また衝動が来る気がする。










嫌だ











来ないで












「ねぇねぇ、あなたも奇病持ちなの?」

「!?」



そう声をかけてきたのは私と同じぐらいの女の子。

体にいくつもの花を咲かせている。

赤にピンク、黄色にオレンジと色鮮やかな花が沢山咲いていた。

たぶん体に花が咲く奇病持ちなんだと思う。

でも、すごく綺麗。



「そうだよ。」

「やっぱり!私だけじゃなかったんだ。よかった~、私はメリスっていうのよろしくね。」

「私はリアン。よろしく。」



私の奇病の発症が確認されて、政府に通報が行き、家族と離されて町に連れていかれる車の中、それが私とメリスの出会いだった。



‐続く‐






読んで頂きありがとうございます。


リアン目線の物語となります。

やっと重い腰をあげられたので、メリス編で書けなかったことをいろいろ詰め込んでいけたらいいなと思います。


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