第24話 大丈夫


―次の日―



「こんにちは!」


「お、メリスちゃん。今日はどうしたんだい?」


「リアンに渡したいものがあって来ました。」


「そうか、喜んでもらえるといいな。」


「はい!」



相変わらずここにいる警備の人達は優しい。

でもこんな簡単に入れちゃっていいのかな?

なんかもっとこう…紙とかに名前書いたりとかしなくていいのかな?

私は簡単な方が来やすいからうれしいけど。

それよりも早くメリスに会いに行かなきゃ。




いつ来てもここは何も無いな…

廊下は真っ白だし、扉は小さい窓が一つ付いているだけだけど、その窓にも網みたいなのか外から掛かってて重そう。

でも、メリスのいる部屋は普通の扉だし中も一般的な部屋とそんなに変わらないかな?真っ白で部屋が殺風景だけど。

今目の前にある部屋みたいにトイレが丸見えじゃないしお風呂もシャワーだけだけどあるもん。

リアンの部屋で一般的な部屋と違うところは、窓に柵がついているところかな。

あれがあるだけで部屋の見栄えが全く違う。

そんな部屋だからこそ、少しでも可愛くなればいいな。





刑務所の奥に少し雰囲気の違う扉がある。そこが部屋がリアンの部屋。

この扉の前に立つのはやっぱり慣れないね…






コンコン



「はーい!」



まだ寝ぐせの付いた髪を後ろにかきあげながらリアンが出てきた。

やっぱり部屋は何も置いていないのもあって殺風景だよね。


「リース持ってきたよ。」


「本当!?見せて!!」


「はい。」


「メリスすごいじゃん!!これ初めて作ったんでしょ?さすがだね!」


「そうかな?ありがとうリアン。」


「どこに飾ろうかな~」



すごく嬉しそうにそう言いながら部屋を歩き回っているリアンがすごく可愛いし、こっちとしてもいっぱい褒めてくれたから満更でもない。

お願いだからトイレだけはやめてね。



「あ!ねぇねぇ、メリス。」


「どうしたの?」


「リースさ、トイレに――」



「飾っちゃだめだよ?」


「なんで被せるのさ!!!飾らないけどさぁ…ちぇ。」



ほら、予想が的中しちゃった。

それにしても、リアンの部屋は何もないから寂しく感じる。

この部屋にずっといるなんて私は耐えられないと思う。

リアンはどんな気持ちでここにいるんだろう?寂しくないのかな?

また一緒に住める日が来るのかな…。



「ねぇ、リアン。」


「なぁに?今リース飾るので忙しいんだけど。」


『いつ頃なら一緒に住めるようになる?』



そう言おうとして、これでまた発作が激しくなったしたら、と思ってやめた。



「ううん、なんでもない。呼んだだけ。」


「何それ~。よし!できたよ!!」


「窓に飾ったんだね。かわいい。」


「これで少しは堅苦しい窓に見えないようになるかなって思って!」


「いいと思うよ。」



飾りつけも終ったし、リアンに話さないと。

昨日の夜、寝る前に決めたことが一つある。

手紙の内容はやっぱり2人で聞きたい。

私の方が先に内容を知っていたって後から聞いた方がリアンのショックは大きいと思うし、内容がリアンにどう影響するのかなんて私には判断できない。だからこそ一緒に聞いて辛いのも、悲しいのも、嬉しいのも全部その場で共有したいと思った。



「あのね、リアン。少し話してもいい?」


「どうしたの?真剣な顔して。」


「昨日、親方さんとアダロと話してきたんだ。それで、長くこの町にはいられないみたいで話を聞くのは明日になったの。その時ね、お母さんの事を少し話したいって言われたんだけど、やっぱりそういう話は2人で聞きたいって思ってて、リアンはどう?」


「お母さんの事…そうだね、うちも2人で聞きたいかな。メリスと二人なら、大丈夫だと思う。」


「わかった。そしたら2人にそう伝えるね。」


「うん。」



リアンは少しうつむき気味だったけど話を聞いてくれてた。

お母さん手紙を見るのことでリアンがどうなるかは怖いけど、二人なら大丈夫。




リアンと別れ、お店に戻ると親方さんとアダロがお店の前で待っていた。




-つづく-





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【あとがき】


読んでいただきありがとうございます!

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最後までよろしくお願いします(*‘∀‘)ノ

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