第23話 アイリス



そうしたら、色々考える前にまずはリアンのところに飾るリースを作らないと。

お店にあるお花で何とかなるかな?

まずこの前咲いたドレスみたいな紫色の花がどんな花なのか調べようかな。


最近は咲いた花を調べる瞬間が一番ドキドキするかもしれない。前はお客さんに喜んでもらえるかが一番ドキドキだったけど、もちろん今でもするけど、やっぱり自分の気持ちとつながっているかもしれないって思ってからは花を調べるときが一番緊張する。



花の種類とか花言葉を調べるのは毎回お母さんの部屋にある本が一番わかりやすい。

お母さんが亡くなってから何回か来てるけど毎回緊張する。



コンコン



「入るよ。」



まだ癖が抜けなくてノックをしてから入ってしまう。

もしかしたら『どうぞ』って部屋の中から返事が返ってくるかもしれないって、そんなことはないとわかっていても、胸に少しだけ期待を抱きながら部屋のドアを開ける。


お母さんが生きていた時と何も変わらない部屋。

亡くなってから片づけていないから当たり前なんだけどね。

綺麗に整頓されていて、木でできたベッドと机や椅子、花の図鑑がたくさん入った本棚とお母さんが好きだった本達の入った本棚。

お母さんの匂いがするこの部屋は入ると少し胸が苦しくなる。


そこにある本棚から年期の入った分厚い花図鑑を取り出す。

名前が分からない時はこの図鑑にお世話になってる。

索引には色で花が調べられるようになってる唯一の図鑑。

中は写真と名前、花言葉しか書いてないけど名前が分かれば他の図鑑で詳しく調べられる。

紫色の花を一番上の段から探していく。




‐アイリス‐

学名:アヤメ、ハナショウブ、カキツバタ

科・属名:アヤメ科アヤメ属

花の色:紫、青、黄、オレンジ、白、ピンクなど




これだ。

紫色のドレスみたいな花の写真が載ってる。

花言葉は、「希望、信じる心、メッセージ(恋のメッセージ)、吉報」すごい。前向きな事ばっかり書いてある。



「希望・信じる心か、今の私たちには必要かもしれない。」



そう思うけど今は初めて作るリース作りを始めないとね。

アイリスの花は一輪しかないから、真ん中にして他のお花で飾ろうかな。

まずは蔓でリースの軸を作って、花たちを巻いていく!

どうしてもアイリスは目立たせたいから、薄紫の細めのリボンに鈴みたいにしてつけよう。


よし、バラだとちょっと大きいかな?

うーん、それならミニバラを使って、カスミソウをちりばめながら…んー、これでいいかな?

パステルカラーのミニバラと白くて小ぶりのカスミソウ、そこに締めの色として紫のアイリスがいい感じ!

小さめだし少しいびつな円だけど、かわいくできたと思う。

リアンが気に入ってくれるといいな。




「さてと、出来たしリアンに届けに行こう。」





-つづく-





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【あとがき】


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最後までよろしくお願いします(*‘∀‘)ノ






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