第22話 明日にならないで



― コンコン


「はい?メリスか、どうぞ入って。」


出てきたのはアダロだった。

お風呂上りなのか少し髪の毛が濡れてる。


「ありがとう。お邪魔します。」


「メリスちゃんいらっしゃい。女将さんから聞いて来たのかい?」


親方さんは部屋の奥の窓辺にある椅子に座りながら言った。


「はい。私もお話があったので来たら親方さん達も話があると聞きました。」


「そうかい。そしたら先にメリスちゃんの話を聞こうかな。」


「ありがとうございます。」



私は親方さんの向かいにある椅子に座り、リアンのいる所で話しを聞きたいと思ってることを伝えた。

もちろん話を聞く場所が刑務所なことは伝えていないし、リアンの奇病の内容も伝えてない。私も昔は聞いたとき少し驚くいたことがあったから、親方さんとアダロが聞いたら倒れちゃうかもしれないし、これでリアンの事を嫌いになって欲しくない。



「2人で話を聞きたいと思ってくれている事はわかった。ちゃんと話し合ってくれてありがとう。そしたら今日はもう遅いから、明後日にでも話に行こうかね。」


「明日じゃなくて、明後日ですか?」


「色々準備とかあるだろう?だから明後日の方がいいと思ってな。」



明後日だったら早くリース作らなくちゃ!

明日までにやる事がいっぱいになっちゃったな。



「そしたら、今度はこっちの話をしてもいいかい?」



親方さんが少し申し訳なさそうに切り出した。



「もちろんです。」


「ティアについてもう少し話しておこうかなと思ってな。リアンちゃんに話す前にメリスちゃんに聞いてもらおうと思ってる。」


「どうして私に先に話すんですか?」



お母さんの事なら二人で一緒に聞きたいという気持ちが強いから少し強めの口調になってしまった。



「今の状況からアダロと色々考えたんだ。奇病に馴染みのない私たちには正解が分からないから憶測ではあるんだけどね、少しの期間この町を見てきて分かったことがあるんだ。」


「わかった事、ですか?」


「あぁ、それは普通の病気でもいえることだが、人によって発作の影響が違う。ティアは発作が起こることで自分の命を脅かすものだったが、メリスちゃんは他人にも自分にも危険が及ぶことはないものなのではないかと思ったんだ。」


「だから、先に話そうと思ったんですか?」


「そうだ。リアンちゃんの発作は見たことも聞いたこともないからね。こちらも話したくないことを無理に聞こうとは思わない。でも万が一、ということも考えての結果なんだ。私たちの勝手なお願いだが、一番身近で知っているメリスちゃんが実際に聞いてみて、伝えても大丈夫かどうか判断して欲しい。」



親方さんたちは発作には他の人に影響を与えるタイプと自分に影響があるタイプ、そのどちらでもないタイプがいることはもう気づいたんだ。お母さんのことを知っていたらそうだよね。

親方さん達の思っている通り私は誰にも害はない発作だし、適任だと思う。

だとしても、一人でお母さんの新しい話を聞くのは怖い…



「少しだけ時間を貰えますか?」



自分の感情と向き合う時間が欲しい。

最近気づいた事だけど、私の発作は誰にも迷惑はかけないけど、咲いた花は私の感情とつながっているんじゃないかなって思う。だから、その時の感情で咲く花が違うし、それが知っている人には感情がばれちゃう。

咲いた花と感情は多分”花言葉”で繋がっているんだと私は思う。だからお母さんの事を考えていた時にカーネーションが咲いたのかなって。



「わかった。私たちの都合で申し訳ないが明日には返事をもらってもいいかい?そのあとでリアンちゃんのところに行きたい。」


「わかりました。」



明日までに…

リアンのいないところでお母さんの話を冷静に聞けるかな?

いや、冷静じゃなくても最後までとりあえず聞こう。

そうと決まればリースを作ってからリアンのところに話に来ること伝えて、ゆっくりして気持ちを落ち着かせてから寝ようかな。

明後日になってほしいけどなってほしくない…。





-つづく-





――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【あとがき】


読んでいただきありがとうございます!

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最後までよろしくお願いします(*‘∀‘)ノ

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