第25話 会いたい
「あれ?どうして2人ともここにいるんですか?」
「この町を散策していたらちょうど帰ってくるメリスちゃんが見えたから、ついでに待っていようかって話になったんだよ。」
「そうだったんですね。何かいいものはありましたか?」
「あった。あそこの通りにあるパン屋すごくおいしくて、また買いに行こうと話してたぐらいだ。」
「あそこおいしいよね!クロワッサンがサクサクしっとりでおいしいんだよ。すぐになくなっちゃうけど。」
「明日また行ってみるよ。」
「まぁ、世間話もそのぐらいにしておいて、本題にいってもいいかい?」
「はい。立ち話もあれなので中へどうぞ。」
3人分のお茶を出して、テーブルに向かい合って座った。
なんとなく空気が緊張しているような気がする?
「メリスちゃん、リアンちゃんと話し合ってもらえたかな?」
「はい。私たちはやっぱり2人で手紙の内容もそのほかの事も一緒に聞きたいです。」
「そうだよな、うん。分かった。明日話そう。困惑させてしまって申し訳ない。」
「いえ、リアンの事を考えてもらってありがとうございます。」
空気の緊張が少し緩んだ気がする。
親方さんも話すのに緊張してたのかな。
その後、今日の散策でおいしかったお店や泣いている子どもの涙が☆の形をしていて驚いたとかいろいろ話をして宿に帰っていった。
明日、お母さんからの手紙の内容を聞くんだよね。
どんな内容なんだろう。
お母さんに会いたいよ…。
朝が来ちゃった…。
楽しみだけど楽しみじゃない、そんな変な気持ち。
でもまずは親方さんとアダロを迎えに行かないと。
2人の泊まっていた宿の前まで行くと、すでに2人とも待っていた。
「お2人ともおはようございます。」
「おはよう。」
「なぁ、親方、今更なんだけど俺っている?」
「いるよ!!」
「だと。お前がいた方がいいってメリスちゃんからのご指名だ。諦めるんだな。」
「はい。」
ちょっとしょげてるアダロを無理無理連れて、親方さんと一緒にリアンのいる刑務所に向かう。
建物が見えてきたころ、
「あんな建物あったんだ。ここと雰囲気合わないね。」
「少し変わった建物だよね。私もこんなところに建物があるなんて知らなかったの。」
親方さんは少し難しそうな顔をしてその建物である刑務所を見ていた。
もしかしたら長年の勘っていうものでなんとなく察しているのかな?
しばらくして、建物の近くに行って窓に格子がついているのを見た親方さんは納得したような顔をしてた。
やっぱりそういうのを見てわかる人はわかるんだ…。
リアンは別に悪いことをして捕まってしまった訳じゃないんだけどね。
「こんにちは。」
「メリスちゃんいらっしゃい。お客様たちもいらっしゃいませ。リアンも待っているから、早く行ってあげて。」
「はい。いつもありがとうございます。」
いつも通り案内されて、白い壁に囲まれた廊下を歩いていると―
「ねぇメリスちゃん、違かったら言ってほしいんだが、ここは刑務所で合ってるかい?」
やっぱり気づいてた。さすがにここまで来て隠すのはおかしいよね。
入るときにいる警備の人、歩いてる道の両脇には格子の窓枠のある重そうな扉、いたるところにある防犯用のカメラ。
どうみても普通の建物じゃないことは見てわかるし、察しのいい人には刑務所だってわかるよね。
私からここが刑務所だってことは言ってもいいのかな。
でも、私からよりもリアンの奇病については本人から話してもらって、この建物については私から話してもいいかな。
「合っています。」
「そうか。ありがとう。詳しくは後で聞くよ。」
「ありがとうございます。」
そうこうしている間にリアンの部屋の前まで着いてしまった。
-続く-
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【あとがき】
読んでいただきありがとうございます!
少しでもいいなと思っていただけたら応援やコメント、★つけていただけると励みになります。
最後までよろしくお願いします(*‘∀‘)ノ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます