第7話 お店
三人でやったのはいいんだけど、リアンが思っていたよりも仕事内容を忘れていて、花の名前を間違えて花束を作ってお客さんが爆笑してたり、お祝いの花束に菊を入れようとして店長の怒号が飛んでくるわでハチャメチャだった。
当の本人は『たまにはこんなハラハラする日があってもいいでしょ?』と言いながら仕事をしていて、また店長に怒られるよってドキドキしていたけど、『昔に戻ったみたいだよ。』って店長も言っていたからいいのかな?
「メリス、リアン今日はお疲れさま。リアンは仕事全然覚えていなかったじゃないか。昨日覚えているって言ったのはどの口だい?」
「ごめんって、店長。でもたまにはこういうのもいいでしょ?」
「いいでしょって…さっきも言っていたが、全く反省してないじゃないか。まったく。」
店長、呆れながらもすごく嬉しそう。
いつも気難しそうな顔をしている店長がこんなに嬉しそうなの珍しい。
明日は雨かな?なんて。
毎日こんなに嬉しそうな店長が見れたらいいのに…
その後、私たちは昔の話をしながら夜ご飯を食べ、店長のベッドで小さい時みたいに一緒に寝た。
翌朝、リアンは仕事に出かけ、いつも通り店長と二人で店番をしたけど昨日が楽しかったからか少し寂しかった。
「昨日は楽しかったなぁ。もう3人で店に立つことは出来ないと思っていたから、嬉しかったよ。これで悔いはないね。」
店長が突然そんなことを柄にもない独り言をぼそっと言った。
私も3人でわいわいしながら昔みたいに仕事が出来てたのしかったよって返事をしてしまいそうになったけど、聞かなかったふりをして涙が出そうなのを必死に止めるのが精いっぱいだった。
「今度メリスだけで店に立ってみるかい?」
「え!?私だけでお店に立つの?店長は?もちろん近くにいてくれるよね?」
「何を言っているんだい。花束も作れるようになったしそろそろいいんじゃないか?これから一人で立つことが多くなるだろうに。慣れておかくてどうするんだい。」
「そんなこと言わないでよ…」
「何を考えているんだい。ここ最近は花の事もかなり調べているようだし、お客様からの評判もいいんだ。だからこそ早く独り立ちしていろいろ経験したほうがいいと思ったんだよ。」
私一人でお店を…
店長に認めたって言われてるみたいですごくうれしい。
でも、いろんなことが頭をよぎって複雑な気持ちになったけど、店長から信頼されてるならやってみようかな。
「わかった、やってみる。」
「よし、いい子だ。明日からすこしずつ慣れてもらうから覚悟しな。」
「店長がそう言う時は本当に厳しいからなぁ…。」
「叩き込めるうちに叩き込まないともったいないだろ?」
そう笑いながら自分の部屋に戻っていった店長の背中を、涙を静かに流しながら見送るしかできなかった。
-つづく-
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【あとがき】
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