第4話 複雑

 「そうですね…実際に来てみて、素敵な町だと思いました。みんな奇妙な病にかかっているのにお互いを軽蔑などしていないじゃないですか。」



素敵な町ってほめてくれてるけど、軽蔑とか奇妙とかいう言葉の言い方がすごく引っかかる。なんか嫌だな。



「あの、言い方もうすこしないですか?うちらが住んでるこの町の人に対して軽蔑とかあるわけないじゃないですか。奇妙とか、自覚あっても何も知らない人に言われると腹が立つ。自分だったどうなんです?」



ちょっとリアンの言い方きつくないかな?

私が思っている事代弁してくれてはいるけど

やっぱり言い方きつい…よね。



 「いや、悪気はなかったんですけど、そうですよね、自分たちが奇妙なとか言われたら腹立ちますよね。すみません。」


「分かってくれるならいいや。うちらもなりたくてこの病気になったわけじゃないし、たまたま発病しちゃったからこの町に連れてこられただけだから。そういう感じで言われるといやだ。」

 


そう、私たちはなりたくて奇病になったわけでもないし、それにここに来たくて来てわけでもない。

発病しちゃったから家族と離れてこの町に連れてこられただけなんだ。

私たちの場合は家族からそこに行ってほしいとお願いされたんだけどね。

そのための町なんだから奇病をもった人たちしかいないのは当たり前でそれを知っているからこそお互いを軽蔑視なんてできないししない。

そんな事ここに住んでないと知らないのは当たり前なんだけどね。



「あの…私たち奇病持ちの人を間近で見て、どう思いましたか?」



さっきの私たちの反応を気にしてなのか、しばらく彼は悩んでから答えてくれた。



「そうですね、まだそんなにたくさんの奇病持ちの方たちを俺は見てきたわけではないので、はっきりとは言えないですけど。すごいと思います。何がすごいのか表すのは難しいんですけど、病を抱えながら生きていくのはそれなりの努力や工夫が必要じゃないかと思うんです。でも、ここの外に住んでる人は、変わっている人がいると避け始めるんです。なるべく近づかないように。関わらない様にって。だからこそ、ここに住んでいる人たちはお互いに支えあいながら、自分たちの病気と付き合っていくために工夫して生きていると感じて、ただすごいな、と思いました。」



変わっていると自分が思ったら避けてしまうなんて…

私たちみたいな奇病持ちが会ったら避けられちゃうってことだよね。

もし外の町に住んでいたら、ここみたいに助けてくれる人はいなくて、避けられていたの?

店長が私たちのような人がいることが知られたらどうなるか分からないってこういうことなんだ。



‐つづく‐




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

【あとがき】


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