126話 ■■■■■とピザ

 


 ネアに助けられたな。目が覚めるパンチ、ありがとう!


 おかげで足場が結構割れて船に戻りにくい。北極みたいな氷の足場だと簡単に足を滑らせてそのまま寒い海にドボンだ。



 頭が痛くなるほど大量に流れるアナウンスを聞き流しながら、ポーションをがぶ飲み。そしてゆっくり足元に気をつけながら船の方に移動している。


 落ち着いたから、一旦ネアと合流してまたここに戻った方がいいだろう。うちの参謀はネアだからな。



「ご主人様! 大丈夫ですか!」


 船の上から手を振って大声を出しているマツが見えた。


「大丈夫ー!」




 船に戻り、夕ご飯を食べながら、カクカクシカジカと説明し、ネアが三本皇国にリスポーンしたから戻ろうと伝える。



「それなら仕方ないですね」

「むしろよくあの状態のご主人様に勝てましたね?」


「負けてない」



「クロ様、そもそも意識が無い時点で負けです」


「うっ……はい」


 ソルさんのおっしゃる通りでございまする。



「何か私だけ態度違いません?」


「色々考えたいから今日は寝るわ」



「おやすみなさいませ」

「あっ、ちょっと! ご主人様!」



 早足で船内の自室に戻る。



 ベッドに寝転がり、確認。


「ステータスオープン」




プレイヤーネーム:クロ

種族:人間?(深度Ⅲ)

レベル:76

状態:狂乱

特性:変人・狂人(超)

HP:55760

MP: 1520


称号:人神の継承者・技神のお気に入り・魔の使役者見習い・観測対象・外道・怠惰因子保有者・殺戮者・大怪盗の弟子・革命の申し子・国家転覆犯・敗北者・竜殺しの婚約者・勇者の対立者・過去に囚われし者



スキル

U:深化・スリップ・リンク


R:成長促進7・支配7・混沌魔術7・魔眼7・飛翔6・宝探し3・恒常的狂気・剣神の加護・超腹筋・光剣の舞


N:隠密10・歩術10・体捌き9・詐術7・火魔法7・短剣術5・潜伏5・思考加速5・魔力感知3・走術3・睡眠耐性3・剣術2・大剣術1・毒耐性1




 レペルに変化はない。【リンク】の説明欄も何も変わっていない。だが、あれは変わっていた。



 スキル

【深化】ランク:ユニーク

 より深く、どこまでも深く、何よりも深く。

 君ならば、かの黒塗りの魔にも届く。

  さあ、堕ちよ。





 今まで伏字だった部分が読めるようになっている。



 黒塗りの魔。



 それがどういった敵でも、やることは変わらない。敵なら殺す、ただそれだけだ。文字からでは見た目も性質も推測できないが、そこはネアに任せよう。


 疲れたし、調べたいこともあるし、ログアウトしよう。


 視界ぐる〜










 調べものは後にしよう。お腹空いたし。夜ご飯何にしようか。よし、今日はピザにしよう。出前を取って、と。


 作る気になれなかったが、明日からは普通に戻さなきゃな。



  ピザが届き、テーブルにピザを置く。姉さんを呼ばなきゃ。



「やった〜! ピザだ〜」



 いつの間にか座ってらっしゃる。


「いただきます」

「いっただきま〜す」



 今日も今日とて上機嫌だ。少し分けて欲しい。



「何かあった〜?」


「まあ、色々ね」


「例えば〜?」



 流石に姉さんに昔のことを言うのは嫌だし、知らなそうな話題で行った方が無難か。それに魔女してる姉さんなら何か知ってるかもしれんし。


「黒塗りの魔って知ってる?」


「…………食べ終わったら部屋に戻ってて」


  「え?」



 そう言って姉さんは数切れピザを取り分け、ピザを入れたお皿を持って自分の部屋に行ってしまった。



「えぇ?」



 全く状況が理解できない。もしかして弱点とか知ってたり? いや、何か関わるなとかの忠告?



「うまっ」



 不穏な空気が流れているが、思わず舌鼓したづつみを打ってしまった。ピザが美味しすぎるのが悪い。



「ごちそうさまでした」



 片付けをして、自分の部屋に戻り、ベッドに腰掛け、姉さんを待つ。


 かっこよく言い換えると、座して待つ、だ。イケてるー。



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