125.5話 輪廻と【限定神化】 (ネア視点)
黒い霧と赤いオーラのようなものを纏ったクロ。確実に一筋縄ではいかない。黒い何かが覆っていて顔が見えないが、正気ではないのは確か。
「■■■■■!コワシテヤル!」
ずっとこの調子。勝手に収まるとは思えないし、何とかしなければいけない。
「……輪廻ノ外法其の壱【
効いていない。おそらくあの黒いののせい。非生物なら通じないから。先にあれをどかす必要がある。
「……火の槍よ〖ファイヤランス〗……風の槍よ〖ウィンドランス〗」
効かない、というより吸収された?
「ッ!」
危ない。黒い何かが伸びて攻撃してきた。形状は先の尖った触手。それがクロの四方八方から無数に出てくる。
「……めんどくさい」
さっきの魔法で敵認定されたみたい。一撃でも食らった跡形もなく消し飛ぶから避けなければいけない。
「【ヒショウ】」
クロが宙に浮かんだ。それならこちらも。
「……輪廻ノ外法其の参【
見たことある中で一番強いのは竜。いや、種族を変えるのではなく、改造として使える? 人型の方が機動性は高いし、やってみよう。
竜の翼を、鬼の筋肉と角を、神の――無理。神はキャパオーバー。現時点では使えない。それなら神以外でそのまま反映させる。
力が湧いてくる。翼の感覚が増える。これなら届くはず。
「……輪廻ノ外法其の弐【
黒いやつは非生物だから試してみる。かなり負担が掛かるが、一瞬だけ動かせた。避けきれない攻撃をギリギリで逸らすぐらいしかできなさそう。
触手の波を掻い潜り、クロ本体に近づく。即死級のが四方八方から、こちら目掛けて貫かんと飛び交う。そろそろ避けるのは限界。
「……輪廻ノ外法其の弐【
前方までの道を無理矢理開けさせる。触手の壁が追いつき始めている。
「……仕方ない……【限定神化】」
自分の体から、神々しいオーラと光の鱗粉のようなものが舞うのを確認しながら、速度を上げる。
竜の翼の後ろに、神の光でできた羽も生えていて触手が追いつくことはない。
代償が大きい分、これくらいの働きはしてくれないと困る。
「……輪廻ノ外法其の弐【
再び正面から触手というより壁が迫ってきたので強引に掻き分ける。
本体が見えてきた。いつも通り種族を変えてもいいが、それでこの黒いやつが収まるかは分からない。
「……起きて
鬼の筋肉にしてパワーアップしたパンチを顔面にお見舞いする。
クロの顔からメキッという嫌な音が聞こえたが、気にしない。そのまま勢いに任せて下に叩き落とす。
「……ッ!?」
死んでリスポーンした。後ろから迫っていた触手に追いつかれて消し飛んだんだと思う。
「ちっ」
案の定【限定神化】の代償がきていた。行きは一日かかったから大丈夫だと思うが、どうかゆっくり帰ってきてほしい。この幼女化した姿を見られたら絶対笑われる。
クロが元に戻ったかは分からないけど、あれでダメなら他にどうにかできる方法は無い。役目は果たした。
念の為メッセージで確認しよう。
{戻った?}
{おかげさまで}
{そ}
良かった。
{今どこにいる?}
{死んで三本皇国に}
{うわ、ごめん}
{ん}
{一旦そっちに行くわ}
{時間はある。ゆっくりで}
{あーい}
早く帰ってきたら困る。トラブルが起きますように。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます