104話 本物のロリコンと大敗?



「それ」




 俺というか建御雷神タケミカヅチが振り向きざまに変態を斬る。



「ぐはっ!」



 体が横に真っ二つになっているのにまだポリゴンにならない。変態はゴキブリ並に生命力が強いのかもしれない。



「【ロリ化光線】!」




 変態の目からビームが出る、マツに向かって。……と思ったら建御雷神が光線を剣で弾いた。




「ロリ無念ロリ……」



 何語? まあいいや。


 謎の言語を発してようやくポリゴンとなった変態。この調子であの老人も倒しちゃって欲しい。



「少年、そろそろ時間切れだから頑張れよ」




 嘘やろ……もうですか。ヤバいんだけど。勝てるか?



『肉体の操作権が返還されました』『レベルが上がりました』



「あー」



 戻っちゃった。こうなったらマツと協力して倒すしかないか。頼んだぞ、マツ!



「あ、いつものご主人様に戻ったんですね」


「何で分かるんだい?」



 老人もいるしRPは忘れずに……。



「さっきのご主人様、動きが達人の域に入ってましたから」


「そっかー」



 見てわかるもんなのか?



「ま、何でもいいけど協力してあの人倒そうよ」


「わかりました。私が突っ込むのでご主人様――」




 なるほど。俺は援護に回れと。俺には魔法とかの援護系もそこそこあるしな。



「おっけー」

「――も突っ込んで私に合わせてください」



「え?」

「行きますよ!」



 ちょっと待った。おかしい、とてつもなくおかしい。



「【本能覚醒】【鬼火】【狂戦士化】」


「ちょっ」


 本当に突っ込んでった。もうどうにでもなれ!



「【深化】全身15%」


『【深化】出力:15%を確認』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上が………………




「【スリップ】、〖chaotic arms〗」



 マツが老人に突っ込む前に老人に牽制する。



「そういえば名乗っていなかったのー。儂のここでの名は仙老じゃ」



 名乗りながら余裕で腕の攻撃を捌く。剣速が異次元の速さだ。下手しなくても団長さんよりずっと速い。



 そうしているうちにマツが仙老さんに接近し、殴ろうとする。



「【ラ゛ッジュ】!!!!」


「ケケケッ、随分と単調じゃな」



 マツの打撃は一発も仙老さんに命中せずに剣で逸らし、単純な足さばきで躱している。


 こうなったら下手に遠距離攻撃するとマツに当たる。近づいた方が良いか。左横から回り込む。



「ガア゛ア゛ア゛ァ!!!!」


 マツのすごい気迫の攻撃の横からジャンプして、【深化】で黒くなった左腕でフック。





「甘い」



「グエッ!?」

「な!?」



 ドン、とマツの攻撃の隙間からマツを蹴飛ばし、飛びかかった俺と向き合う。



 ――これはまずい。



「まずは一本」



「あ゛」





 ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァァァァ!!





 左腕が斬り飛ばされた。くそ、痛ッツ!



 ……てえな!



「小僧、痛覚を減らしていなかったのは褒めてやる」



「くっ……」



「じゃが、実力差があろうと、最後まで抗おうとしないのはいただけん」



 うるせえ。この状況で勝つのは無理があるだろ。


「終わりじゃ」


 仙老が剣を振りかざす。動けない。

 これは死――――









「――させません!!!!」


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