102話 老人とヘルプ
リューゲが戻ってきたのでマツが出ていった。俺は相変わらず攻められないので暇でゴロゴロしてる。リューゲと話す話題も無いし、今はゴロゴロしすぎて謎の虚無感を覚えているので話す気にもなれない。
ちなみにリューゲは壁にもたれかかって座り、目を伏せている。寝てはいないと思う。
コンコンコンッ
ノックだ。シロが帰ってきたのかな?
「いいよー」
「ただいまですわ」
「おかえりでやんす」
「…………何そのとってつけたようなお嬢様言葉もどき」
「いや、最近キャラが薄い気がして……」
ネアにへりくだって敬語使ってるのに他には使ってないからブレブレなんだろ。
「そういえば危なかったらしいけど大丈夫だった?」
「あー、うん、ネアさんのおかげでね」
何かに気後れした感じだ。ネアに申し訳ないと思ってるのか。
「ネアはなんだかんだいって優しいから、頼ったぐらいで怒られないよ」
「え?」
「え?」
違ったのか。なら一体何に……?
「いや、何か凹んでるように見えたから」
「ああ、うん、そうね。大丈夫。大したことじゃないわ」
そういうことを言うやつは大丈夫じゃないんよ。かといって踏み込みすぎるのも良くないからなー。
「相談ならいつでも受けつけてるから、何かあったら言いなよ?」
「うん、ありがとう」
さて、慰めも終わったし、俺も出撃といきますか。準備万端、元気MAX、やる気十分。
「いってきまーす」
「頑張ってくださいでやんす!」「いってらっしゃーい」
マツは北東、ネアは南側にいるので北西に向かう。木々が生い茂っていて邪魔で仕方ない。アクロバティックな動きができるなら木を上手く利用できそうだが、生憎そんなことはできない。
「【飛翔】」
飛んだ方がずっと速い。上から見れるので偵察にもうってつけだ。上を見るなんて滅多にしないからバレにくいし。
ドーン!!
爆発音がした。あっちか。砂漠ゾーン的な場所だな。足場には注意しよう。
大きな岩があったのでそこの陰に入ってのぞきみる。老人が囲まれて戦ってる。ガラス玉を背にして。
こんな開けた場所が陣地なのは辛いだろう。隙を見て楽にしてやろう。
「「「火の槍よ〖ファイヤランス〗」」」
「「「水の槍よ〖ウォーターランス〗」」」
六人がかりの一斉攻撃だ。これは俺の割り込む前に決まったな。もう少し入り組んだ場所に入ったらあの六人を倒そう。
「
な!?
……老人が腰から抜刀すると剣の軌跡が空中を縦横無尽に、まるで空間を埋め尽くすように描かれた。
あれ、スキルじゃないな。スキルの起動は一瞬光るから。あれが素で、現実でもできるというのは些か信じ難いが、それどころではない。
囲んでいた六人が今ので全滅した。つまり、注意する数が減り、見つかりやすくなる。
今すぐここを出た方が良さそうだ。正直勝てるか分からない。【深化】を出力MAXで使えばワンチャンあるかもだが、まだイベントは中盤だ。温存したい。
「ケケッ、小僧、折角じゃ。戦わんか?」
気づかれてたか。達人っぽい人ってすぐ気づくよね。団長さんの時みたいに。
チャットでヘルプ呼ぼう。
マツ:{相性が悪いのでご主人様の方に向かってます}
おっと? 俺も助けて欲しいんだけど。
……交代すればいいのか!
マツがあの老人相手にどれだけもつか分からないが、急いで俺がマツの相手を倒して二対一に持ち込もう。
クロ:{こっちに強い人がいるから一瞬代わってから二対一にしよう}
マツ:{了解です}
マツが来るまで死なないように立ち回らなきゃな。老人が近づいてきてるからゆっくり後退する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます