96話 冷凍チャーハンとナンパ
真っ赤になってる顔を俯かせながら駐屯地に戻ってきた。こんなに恥ずかしいのは、別にお姫様抱っこしたからってわけではない。
無意識にお姫様抱っこをしたからだ。手馴れてるみたいで恥ずかしい。
「今日はもう寝るから」
「え、もうですか?」
ソルさんが怪訝にこちらの顔を覗き見ようとしてくるので顔が見えないように足早に用意された自分の部屋に戻る。
ログアウト。
「なんか思春期男子の典型みたいな反応で悔しいな」
お昼ご飯に冷凍チャーハンを温める。姉さんはもう食べたようだ。
「俺って女性に免疫が無いのかなー」
姉さんとは仲良いが、他の女性となると…………現実では無いな。強いて挙げるなら図書委員の名前の知らないクラスメイトぐらいだ。あと姉さんの友達の……沙奈さんだっけ。
あとはゲーム内のネアとシロぐらいかな。他はそんなに長い付き合いではないな。
おっ、できたみたいだ。
「いただっきまーす」
ウマウマ。冷凍チャーハンで1ヶ月過ごせと言われても余裕でいけるぐらい美味い。流石、天下のおっさん食堂。
「ごちそーさまでした」
さて、気分転換に最近やってないゲームでもするかー。
バタバタ バタンッ!
「こ〜くん、今から出かけるよ〜!」
突然だな。一体どういうことなのか、是非とも説明してほしい。
「どこに?」
「最近流行りのメロンシャーベットを食べに〜」
最近はそれが流行りなのか? かなり昔の流行りじゃない?
「行くよ〜」
「あいよ」
まあ、流行なんて何回も繰り返すものなんだろう。
「で、なんでこんな町中に?」
「専門店ができたらしいんだ〜」
それを知って急いで来たのか。納得。…………いや、専門店ってなんだよ。メロンシャーベットって店頭でなにかできる物じゃないだろ。
「ねえねえ、そこのお姉さん。めっちゃ綺麗だね。どう? 俺らと遊ばね?」
「そうそう、絶対楽しいからさー」
「えっ? えっと〜」
「大丈夫大丈夫! 何もしないからー」
は? 姉さんの腕を掴みやがった。
「………ねよ」
「ん? 弟くんかな? 一人で帰れるよね? お姉さんは俺らと遊んでから帰るから、ごめんねー」
「ごめんねー」
「こうくん! ストップ!!」
「嫌だよ。こういうやつらは痛みが無いと分からないんだよ。だってそうだったじゃん。姉さんだってよく知ってるだろ?」
「それは……」
そう、俺は間違っちゃいない。
「歯ァ、食いしばれや、カス」
「ダメッ!」
全力で殴ろうとしたら姉さんが間に入った。ありえない。
「なんで邪魔するの?」
「
「でも腕を掴んだよ」
「……お姉ちゃんは大丈夫だから」
「そうやって前も……!」
「大丈夫だから」
「…………っ!」
「そういうわけで、急いでるからどっか行ってくれな〜い?」
「あ、うん、こっちこそ何かごめんねー」
「いやー、俺らマジでK・Yだったよなー。お邪魔しました!」
ナンパ野郎どもがどっか行った。フゥーーー、落ち着こう。
………………落ち着いた。
それにしても、あの余裕そうな姉さんの感じ、あらかじめこうなると予想してたのか?
だったら……
「姉さん、もしかして何か沙奈さんに
「うぇっ!? い、いや〜、そんなことないよ〜?」
やっぱりか。だったら今回のお出かけは口実だったわけか。
「じ、じゃ〜、メロンシャーベット食べに行くよ〜」
それは本当なのかよ。
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