72話 殺し合い?と謎の森
「貴方たち程度で私に勝てるわけないじゃない」
「やってみないと分かんねーだろうが!」
「……そう」
流石にゴミクズとはいえタラッタちゃんの親だ。殺したらタラッタちゃんの行く宛てが無くなる。
「そういえば、タラッタちゃんの父親は誰だ?」
「父親? 知らないわよ。ジェームス、ピエノフ、クタニメ、候補を挙げたらきりがないわ」
重婚が認められるならいいのかもしれんが、俺は無理だな。ハーレムも逆ハーレムも理解出来んわ。親が分からないとかタラッタちゃんが可哀想すぎる。
殺すのは尚更無しになったが、更生できるか? こんなクズがマトモになるとは思えないんだが。
「まぁいいや。とりあえず性根を叩き直すためにもボコボコにしてやる」
「やれるものならやってみなさい」
「……また蚊帳の外」
ネア、まじでごめん。もうちょっと存在を主張してくれ。……存在を主張するって何だ?
「何か思考がまとまらん。【深化】!」
あっ、やべ。全力で発動しちゃった。出力の指定し忘れ……
『【深化】出力:50%を確認』『種族:騾ク閼ア縺励◆迢よー励?隕????≫蔓笆?笆?笆?笆?繧貞?偵☆閠に強制進化しました』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上がりました』『レベルが強制的に上が…………
「それが自分の力で御せれていれば、勝機もほんの少しはあったかもしれないわね」
「……前より濃い?」
ッ! 頭ん中が掻き回されるような感じになってる。早く解除しなきゃ。
「醜いわ」
ゴポッ
水に包まれる。が、足下に魔法陣が突然出現した。
……どこや、ここ。いや、それより急いで解除だ。
「解除!!!!!!」
『【深化】が解除されました』『種族:人間?に退化しました』『レベルがダウンしました』『レベルがダウンしました』『レベルが………………
危なっ。さて、落ち着けたし状況を整理しよう。まず、俺は屋敷のリビングで【深化】を出力MAXで使って、一瞬水に包まれたと思ったらここにいると。
体が動かない。頭から上は動くけど、下は何故かバッチリ固まっている。というよりかは包まれている?
「火種よ、〖プチファイヤ〗」
目の前にちっこい火を出す。
「埋まってる?」
首を地面から出して他は埋まっている状態だ。これ、どっかに転移して地面に埋まったってことか。
何をするにしても、ここから抜け出さなきゃ。どうやって抜けようか?
「新しい安眠法ですか?」
「え?」
落ち着いた声が聞こえる。人がいる? 後ろか。【魔力感知】はパッシブのはずだ。何故引っかからなかったんだ?
「事故で埋まってしまったので、助けてくれないかな?」
「分かりました」
お面装備中なので黒幕RPだ。取っときゃよかった。黒幕が埋まるなんてあっちゃいかんやろ。
「ほい」
「いでっ!」
ズポッ
頭を掴んで引っこ抜いてくれた。……片手で。力持ちだね。
「ありがとう、助かったよ」
「いえ、やっとイベント以外で話の通じる方と会えて嬉しいです」
カーソルが付いてる。プレイヤーみたいだ。にしても話の通じないやつとしか接してないってここ、どんな田舎なんだよ。
「ここはどこかな?」
「分かりませんが、一度入るとなかなか出れない森でしょうね。木も高いので日も通りませんし」
「ちなみに、どれくらいここに?」
「初日からずっとです」
なかなか出れないというか、全く出れてないじゃん。待てよ、人間の初期位置は町だったはず。つまりこの人は人間以外か。容姿を確認したいな。引っこ抜かれて火種消えたし。
「火種よ、〖プチファイヤ〗」
くすんだ碧色のショートボブに、目の色は金色、更に同じ色のメッシュを入れ、メイド服を着た少女。青の角が2本ある。何の角だろうか。
「なんでメイド?」
「RPです」
「初日からここに居たんじゃなかったっけ?」
「蚕は居たのでそこから取って、花を染色料の素にして一から編みました」
何でそこまでするんだ。町を探した方が早いだろ。いかん、ネア達のあの後を聞かなきゃ!
{クロ}
{ネアー、無事かー}
あ、被ったな。すげー偶然だ。
{ん}
{どうなった?}
{私とロリが一緒に魔王城に飛ばされて保護されてる}
魔王城? 何で俺だけこんな森に飛ばされたんだよ。
{俺は今謎の森にいる}
{ガンバ}
俺の扱い、雑になってない?
「ここから出るのに手伝って頂けませんか?」
「手伝う他ないから、勿論だよ」
「その前にリスポーン地点更新した方がいいでしょう。ご案内します」
「よろしく〜」
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