66話 やらかしと想定外
「……んにゃ……もいにゅ〜」
……
「重い!!!!」
「グベッ」
あまりの重さと暑さに何かを蹴っ飛ばした気がする。
「イテテテ〜」
……姉さんだった。前にも寝起きドッキリ仕掛けようとして寝落ちしたことがあったけど、今日もそれか?
「なんで俺の布団に入ってたんだ?」
「ん〜? ホントだ〜」
「…………」
「イベントだから早く起こそうと待ってたら寝ちゃったみたいだね〜」
はっ! イベント! 今何時だ?
“10:54”
……やっべ、完全に寝坊やんけ。
「急げー!!!!」
「お〜」
ギネスブックに載るレベルの速度で洗顔と朝食と歯磨きを済ましてログイン。
「は?」
は?
「やっと起きましたね!」
「邪竜来てるわ!」
今いるのは岩場の近く。村のあった方角は昨日見た夕焼けより赤一色に染まっている。
「どうやってここまで運んだんだい?」
「パパが頑張って運んだのよ!」
「朝になっても起きないので少しずつ運ばせていただきました」
「ありがとう」
運ばれてなければ今頃焼死体だったな。助かった。
「ゴホンッ、さっさと倒してk」
ドッガーーン!!!!!!!!!!
「は?」「え?」
左側からものすごい音がした。見てみると……
「パパ!?」
跡形もなく、消し炭になっていた。今のはおそらく邪竜のブレスだろう。すごい威力だ。何としても避けなきゃいけないな。
「パ……パパ? パパ!」
“パ”でゲシュタルト崩壊起こしそうだ。
「ッッッッ! ア゛ア゛ア゛ア゛ァァッッッッ!」
……
「ッッッッ!!!!!!!!!!」
声にならない声をあげてる。しかも何故か赤黒い渦を纏い始めた。仕方ない。敵討ちするか。
「……剣…………かして」
「あ、はい」
効きそうなグラムを献上。でも流石に無謀では?
「解放っ!」
グラムが真っ赤な炎を纏った。俺も知らない機能だ。解放って言えば使えたのか? ……それならメロスが言ってるか。何か条件があったのかもしれない。
「ラァ゛ァ゛ァ゛!」
邪竜に突っ込んでった。横槍を刺すのはしたくないので大人しく観戦席で解説、実況しよう。
実況、解説をさせていただく、クロです。よろしくお願いします。さぁ、始まりました。復讐の
ここで邪竜選手が爪で攻撃を仕掛けます! しかし、マリー選手、大剣で難なく腕ごと切断します!
とてつもないパワーです。どんな仕組みなんでしょうか。そうですねー、おそらくあのマリー選手の纏ってる赤黒いオーラが関係しているでしょう。もしかしたら先程のお義父さんの死で何かしらのスキルが手に入っているのかもしれませんね。
解説の間も状況は刻々と進んでいます! 吐き出した炎を弾き、対処するマリー選手! 一方邪竜選手空を飛ぶことでマリー選手の攻撃範囲から抜け出したまま遠距離攻撃に移りました。
これはマリー選手、不利か!?
「て゛ゃーーー!!!!!」
ここまで届く程の気合いの
からの〜首チョンパ!
決まりました!
復讐の
この辺で実況、解説は終了です。またの機会にお会いしましょう。さようなら〜。
はい、あっさりと勝ってたな。女の子を怒らすと竜も殺せるのかな? とりあえずマリーさんの様子を見に行こう。
村の跡地。炎に包まれながら横たわっている人影が一つ。勿論マリーさんだ。
「ハハッ、倒せたよ!」
「すごかったよ、おつかれ」
「うん、なんだか眠く…………」
ほっとく訳にもいかないしさっきの所までおんぶで運ぶか。
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