61話 シチューと親子丼
昼に差しかかりつつあったので、一旦村に戻ってマリーさん宅で昼食をとることにした。
「美味しいですね」
「ふふん! 私の
「料理しか取り柄の無い娘ですが、末永くよろしくお願いします」
メニューはシチューだ。めっちゃ美味い。というか完全にお嫁に貰わなきゃいけない流れになってる。いっその事、ここで殺してもいいかもしれないな。面倒臭いし。
いや、そうすると東の要石の部屋を手当り次第探さなきゃいけなくなるか。とりあえず要石を壊してから考えよう。
「ごちそうさまでした、少し仮眠とるから待ってほしい」
「おやすみ〜」「お疲れでしょうし、しっかり休んでください」
机で伏せてログアウト。
視界グルグル〜〜〜〜
今日はコンビニ弁当だ。昨日姉さんがイベントに備えて買ってきてくれた、2日分、全4食。ありがたい。姉さんはもう既に食べたようだ。
ゲーム内ではシチューだったからご飯系が食べたいな。
「親子丼弁当にしよう」
冷蔵庫から取り出してそのまま食べる。やはりコンビニ弁当の丼物やチャーハンは冷たいものに限る。夏だし。
「いっただきまーす」
食べながら今回のイベントの整理をしよう。
まず全プレイヤーがβ版で100人、第一陣で200人の計300人だ。イベントはカルマ値ごとに分けられているので、全員が参加したとすると各フィールドに100人程いることになる。
俺が見たのは、えーと……50人くらいか。残り50人がいると考えるともう少し警戒しつつ移動した方がいいか。
あとはシナリオだ。村の守護獣が邪竜から生贄を引き換えに守っていたんだったな。成り行きで守護獣討伐が目標になってるが、倒したとして、邪竜も倒さなきゃいけないかな?
「ペース配分が大事になりそうだな」
そして1番の難点が【深化】がイベント中使えなくなってるってところか。切り札無しでボス級のと戦うのはしんどいな。守護獣じゃなくて守護神とかだったら
「ごちそうさまでした」
ログイン。なぜか床で寝転がっている。正確に言うと、
「膝枕?」
「パパが男はこういうのが好きって」
べ、別に好きじゃねーし。
「邪魔だったからお面机に置いといたわ」
「な!?」
顔を触ってみるが、素肌だ。顔を見られた。黒幕にあるまじき失態だ。急いでお面を装備。
「お面は許可なく触らないでほしいな?」
「でも、膝枕には邪魔だったし……」
「次触ったら君を嫌いになるから」
「わ、わかったわ。気をつけるわ!」
ムカつく。人のパーソナルエリアにズカズカ入ってくるところも、警戒心の無かった自分にも。
「……八つ当たり」
「あれ? 何でここに?」
「……西の部屋……見つからない」
それでこの村に来たわけか。机で寛いでるところから俺の関係者と明かしたのか。変なこと言ってないといいんだが。…………ネアは無口だし大丈夫か。
「それでシロは?」
「死」
? あー、死んだってことか。口頭で1文字返答されると一瞬何言ったのか理解できないからやめて欲しい。
「死因は?」
「……部屋で」
「なら北も行かなきゃいけないかー」
「……石……壊したみたい」
満身創痍で壊して死んだってことか。激戦だったのか。南と一緒だとは思えないけど、あれくらいの難易度ならよくやった方なのかもしれない。
「それで、西の場所は教えてもらった?」
「……分からない……みたい」
「どうすんのさ」
「……村人……犠牲にする」
はい? 犠牲にしてもどうにもならないだろ。
「この家の2人は困るよ」
「他……だけ……」
「何とかなるの?」
「……スキルある」
そんな便利そうなスキルが?
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