50話 健康と進む方向



 ログアウト。姉さんは出かけているようで、カップ麺を作った。麺づ○り美味しいな。醤油味しか勝たん。


 ストレッチがてら近所をランニングしに行くか。


 パジャマから着替えてタオルを持って玄関から出る。


「いってきまー」



 運動しないでゲームばっかりしてると生活習慣病になりかねん。



「こんにちはー」


「こんにちは、ランニング? えらいわね〜」


「そうですかねー」



 夏休みとは言っても社会人は仕事だから近所のおばさんぐらいしか会わないのでこの時間帯はいいな。








「ただいまー」


 まだ姉さんは帰ってないようだ。30分しか走ってないからそりゃそうだって感じだがちょっと寂しい。ぴえん(棒)



 体も動かしたし、またログインするか。かなりの廃人になってる気がするが、こんなに楽しい世界なら仕方ないだろう。俺は健全だ、うん。



 グルグル〜






 目を覚ますとメロスが俺の横で一緒に寝転がっている。女の子が男の布団に入るんじゃありません! 襲われたらどうするの!


 ……メロス、オスだったわ。口調と高めの声ですっかり忘れとった。


 寝てる間にステータスの確認をば。

「ステータスオープン」





 プレイヤーネーム:クロ

 種族:人間?(深度Ⅱ)

 レベル:55

 状態:狂乱

 特性:変人・狂人(超)

 HP:30250

 MP:1100

 スキル:深化・隠密10・歩術9・成長促進6・スリップ・支配6・混沌魔術3・詐術5・恒常的狂気・火魔法4・睡眠耐性3・潜伏3・宝探し2・体捌き4・短剣術2・魔眼1・剣神の加護




 スキル

【剣神の加護】ランク:レア

 剣神に認められ、成長を期待された者に与えられる。剣を使った攻撃に様々な補正がかかる。



 あまり全体のスキルレベルは上がってないけど、新しいスキルと、スキルレベル10が上限だとわかったのが収穫かな。


 相変わらずHPがおかしいぐらい多い気がするが、比較対象がないからな……フレンドに聞くのもありか。聞くなら無口の子の、えーと、ネ……ネア! そう、ネアだ! 良かった、まだ若年性認知症にはなっていないな。




 とりあえず送ってみよう。


 {今のレベルとHP、MPの数値をよければ教えてくれない?}


 マナー違反かな? お、早速返信だ。


 {レベル35、HP3500、MP360}



 おいおい、見た目的に俺みたいな変な種族じゃなければ人間だったはず。つまり大多数のプレイヤーはこんな感じだ。


 ……差がありすぎじゃね? いくらなんでもゲームバランス崩壊すると思うんだが。マスクデータのパラメータが人間と同じだと考えると今まで乗り切ってきた死線は本来アウトだった可能性が高くなってきたな。


 このHPで瀕死とかをポンポンしてきたわけだから普通の人間だったら確実に死んでたからな。



 {ありがとう、参考になったよ}



 お礼は大事よな。



 {今忙しい?}



 む?



 {暇だけど、どうかした?}


 {手伝って欲しい}



 メッセージも簡潔なんだな。



 {ちょっと相談してから返事するから、少し待ってくれないかな? ちなみにどこに行けばいい?}


 {北の山脈、王都から東北東に進んだところ}


 {わかったよ。ちょっと待ってね}


 {ん}



 それなりに付き合いも長いし、もう素を出してもいい気がする。次は素でいこう。



「メロス! 起きろメロス! セリヌンティウスが待っているんだぞ!」



 〈ん〜、誰よそれ〜、ふぁ〜あ〉


「寝起きで悪いんだが、真面目な話するぞ」


 〈わかったわ〜〉


「次にどこに進むべきだと思う?」


 〈…………そうね、それはご主人が決めるべきよ〉


「ならせめてどんなところか教えてくれ」


 〈昔と変わってなければだけど、北は鳥と虫が多かったわ。南は猿と、森を抜けると海があるわ〉


「俺は西から来たから西は割愛で」


 〈わかったわ、東は竜の住処だったはずよ〉


 竜、そういえばサキュバスさんもそんなことを言っていたはずだ。なら少なくとも東は合っているんだろう。


 ぶっちゃけ竜とかめっちゃ会いたい。男の憧れだし。


 どうしたもんか………………


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