34話 潜入と不利



ログイン。今日はサービス開始から6日目だ。毎日が濃すぎて体感で1ヶ月はたった気がしてた。


 因みに今日はちゃんと寝た。本番に万全の体制で臨むのは常識だ。今朝はコーンフレークにした。やっぱり上手いんだよな〜。




「ごちそうさまでした、のじゃ」

「ごちそうさまでした☆」

「ごちそうさまでした」


 こっちは昨日とほぼ同じメニュー。


「早速2人には潜入してもらうのじゃ」


「お任せあれ☆」


「できるだけ頑張ります」





 なんと、潜入のためにドレッシングルームに連れてこられ、お着替え中。一体何を着せられるのか。


「え? これ着るんですか?」


「はい、お嬢様からこれを着させよと仰せつかっておりますので」


 まさかの、ME・I・DO・HU・KU ♡


 ふざけんな。なんでこれ着る必要があるのか3文字以内で説明しろや。



「自分、男ですけど」


「立派なレディに仕立てあげよとも言われておりますので」


 その割にはなんか楽しそうだぞ? ニヤけてるの隠せてないぞ?











 はい。立派なレディに仕立て上げられました、メイドのクロでございます。f○ck!




「とても似合ってるよ☆」


「なんであんたは執事の格好なのに自分だけこれなんですか」


「わたしの弟子なだけあって変装しやすい中性的な顔つきだからね☆」


「弟子とかは絶対関係ないと思います」



 そんな言い合いをしてると、お城に着いた。従業員の出入口から堂々と入る。チェックはしてるみたいだけど、タイムカード的な感じのノリだから、架空の名前を書いて入れた。



「ガバガバですね」


「従業員出入口は普通は潜入しようとしても、恰好で分かるからね☆ こっちは皇女殿下からもらった正式の従業員服だから、問題ないんだよ☆」



 あれか、同じ制服なら見ない顔の他校のやつでも簡単に入れちゃうって感じのやつだ。




「そういえば、今回の目的は何ですか?」


「宝物庫にある、ネクタールという不死になる神酒と、占事略决という本の回収だね☆」


 ネクタールはギリシア神話だったはず。本の方は漢字だから日本か中国由来と推測。


「2つだけですか?」


「他は皇女殿下の脅威になり得ないそうだよ☆」


 逆に言うとぶっ壊れ皇女さん相手にワンチャンある本はなんなのか。



「ここだね☆」


「流石に国の大事な宝物庫はそう簡単に開けれないのでは?」


「そうだね☆ でも、皇女殿下とその同志達が正面から突撃してくるからこっちも手っ取り早く壊して入ろうと思うんだ☆ 任せたよ☆」


 この頑丈そうな扉を壊せと言うわけか。混沌魔術ならいけるか? でも、まだ使ってるところ見せてないんだよなー。


「周囲の警戒はしておくから、頑張ってね☆」


 他にやりようもないし、やっちゃえ。


「〖chaotic arms〗」



 全部扉に叩きつける。轟音だ。兵士が慌ててこっちに来てるのがわかる。でも、開いたから問題無し。



「入りましょう」


「そうだね☆」


 でもその前に近づいてきた兵士を倒す。トドメも。油断よくない。ついでに仮面と外套も着る。これで身バレは大丈夫。この師匠もどきと皇女さんは共犯者だから問題ない。ちゃんとRPもする。


「見つかったかい?」


「うん☆ すとれーじにしまってくれる?」


「分かったよ」


 言われた通りに液体の入った瓶と本をストレージに仕舞う。てか、この恰好に関してはスルーかよ。


「では、脱出と行こうか☆」



「そうはさせん」



 また兵士が来たのか。ゴキブリのようにわいてくる。


「おやおや、何故このような場所にあなたのような方が?」


 師匠もどきが知ってるってことは、この人有名人だったり?



「なにか嫌な予感がしたのでな」


 歴戦の戦士っぽさが出てる、おっさんだ。


「わたしの弟子よ、ここはわたしが時間を稼ぐから、殿下を呼んできてくれ☆」


「それは不可能です」


 また増えた。


「今あの女は魔法省総出で結界に閉じ込めておりますの。きっと1時間は出られないはずですわ」


 更にもう1人。


 あらら。これもしかして、かなりピンチ?

 でも誰一人として知らないから危機感が湧かないんだよな。




「君たちは誰だい?」




「俺は帝国六輝が一人、ガリアスだ」


 どこにでも居そうな中年男性。


「私は第2皇女のパトリオット・ナル・プロフェツァイアよ」


 貴族御用達の縦ロールの青髪の女性。


「私はお付きメイドのソッリエ・ヤーニンです」


 眼鏡が似合う、黒髪おさげのメイド服の女性。



 よく分からんけどみんな強そう。


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