31話 徹夜とライン越え



『スキル:【睡眠耐性】を獲得しました』




 はい、徹夜で課題を終わらせて、寝たら起きるのが昼になっちゃうと思って一睡もしてないクロです。


 まさかのリアルの眠気でスキルを獲得した。

 こういう精神状態的なのはログインしても引き継がれるから出来たのかな?


 いや、精神状態というより、脳の状態の方が正しいか。もし、睡眠が精神状態だったら俺のパッシブスキルで効かないはずだし。睡眠は肉体の状態異常で効くというわけか。


 てか、耐性獲得したら、現実の眠気も減るのかな? どういう仕組みで眠気の耐性をつけてるんだ?


 耐性というだけあってログアウトすると急激に眠気が襲ってくるとか?




 アカン、眠くていつもより長考してしまう。




 とりあえず動いて眠気を何とかしよう。ベルを鳴らす。しばらくしてノックの後ドアが開いた。



「おはようございます。どのような御用でしょうか」



「少し早く起きてしまったので朝食の準備をお願いしたいです」


 まだ早朝の5時だからな。


「かしこまりました。直ぐにはできないので、ごゆっくりお越し下さい」


「はい」




 メイドさん何時起きなんだろう? かなりブラックなのでは?



 さて、昨日手に入れたお宝はどこで売ろう。全部鑑賞用で実用性が無くて売るしかないんだよなー。


 ……今更だけどあの金髪イケメン怪盗とか名乗っといて、予告状とか出てないのでは? 警備がザルだったし。




 着いた。まだ10分くらいしか経ってないのに準備されてた。有能。褒めてつかわす。


「いただきます」


 朝食はコーン? スープと米? とサラダ。

 なかなかヘルシー。貴族や皇族は体型維持とかでこういうの食べてんのかな?


 あ、これコーンじゃないな。若干辛みがする。米は日本のと同じだと思う。




「はやいのー、眠れたか?」


 皇女さんが来た。この人もだいぶ早い起床だ。やっぱり忙しいのかな?



「それよりこのスープ美味しいですよ」


 あのふかふかベットで眠れないと言う訳にはいかない。ベットさんの名誉を守るのだ!



 あ〜〜〜、深夜テンションかも。下手なこと口走らないように気をつけよ。



「そうか、いただきます」


 覚えたのか、えらい!


「そういえば、年は幾つなんですか?」


「は?」


 おー、怖。なんかすごい殺気と紅いオーラが迸ってる。よく考えなくても年は不味いよな。さっき気をつけると言ったそばから失言しちゃった。



「ごめんっちゃい(はーと)」


 使い損ねたネタは使っていくべきだよな!


「…………言い残すことはあるか?」


 ふふん。小娘の攻撃など、この俺には効かんわ!


 フハハハハh


「ッツ!?」


 痛ッッッッッッッッッッッッッッッッ!









 ハァハァ、あー……もしかしなくても死んだっぽいな。なんか一瞬で燃やされた感じだったな。室内で火は良くないだろ。てか、初動も見えなかったし、何されたんだろ。



 戻らなきゃなー。…………いや、これ逃げれるのでは? うん、急いで出国すれば自由が取り戻せる!


「いい朝だね☆」


「昨日とは違ってガンガン晴れてますしね」


 まじかよ。


「……なんでここにいるんですか」


「散歩をしてたら君が見えたのでね☆」


 腹立つなー。


「そうですか、では自分はここらへんで」


「じゃあ、わたしもお供しよう☆ 弟子を助けるのが師匠の役目だからね☆」



 許可なく師匠面すんな。逃亡は無理そうだ。諦めて戻ろう。



 謝ったら許してくれるかな? さすがにあの地獄の痛みを何度も味わいたくはないんだけど。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る