14話 逃走劇とクズ



逃げる、とにかく逃げる。スキル発動に合わせて避ければいいから、背中を見せてでも全力で逃げる。


 それでも少しずつ詰められているのは、ステータス差だろう。






「【輝閃剣】」




「【サイドステップ】!」






 これなら王城に着く。今は大通りを全力で駆けてる。道に迷うことは無い。周りの人達は避難してった。






「【飛影斬】」




 ッ!? ヤバい。まだCTが……




 武器はナイフだけ。


 魔術を使おうにも発動までのタイムラグで間に合わない。向き変えバックステップも向きを変える動作で間に合わない。






 ナイフで受ける!






 え? いけた。小技っぽい速さ重視のスキルだったからか? ただの飛ぶ斬撃だったし。




 ……飛ぶ斬撃も十分すごいと思うが








 このナイフなら範囲攻撃以外受け止めれるのでは? 刃こぼれ一つしてないし。さすがキャシーちゃん!










「すごいですね。ではどんどんいきますよ」




「勘弁して欲しいね」










 後ろ足で逃げながらナイフを構える。




「【光剣の舞】」




 7本の光の剣が団長さんの周りをグルグル舞うように回っている。






 剣の先がこちらに向いた。


 さすがに光速で迫る剣の対処なんて無理。








「【バックステップ】〖chaotic arms〗」




 距離を取りながら灰色の腕を団長さんの周りに出して同時に叩きつける。






「【一閃】」




 7つの光の剣が7本の腕を斬って消える。


 正面側に残った3本を斬りつける。腕全滅。






 でもスキル2つ使わせれた。この隙に




「【バックステップ】」




 王城に大分近づいてきた。正確な射程はわかんないけど、もう少しで例のスキルが届くと思う。検証しときゃよかった。








「なかなか粘りますね」


「その表現はやめて欲しいね。勝つ気なんだから」




 男の子の見栄を張っていく。






「それはできませんよ。【竜力りゅうりき】」



 赤いオーラが団長さんの体から吹き出す。

カッコイイ! 俺もあれやりたい!














 ……あ、れ? 何された?




「理解出来なかったようですね。ただの全力で距離を詰めて貴方のお腹を殴っただけですよ」






 さっきまで舐めプされてたってことか。


 ムカつく!



 上げて落としてやろう、そうしよう!










「……ねえ、君は全世界でどのくらい強いの?」



「本気を出した私に並ぶ者は両手で数えられる程でしょう」



 つよ


「この国はどれぐらい強いの?」


「大国の1つですから、かなりのものかと」




「その強さの秘訣は目の前にある立派なお城が関係してたり?」




「ええ、国ができるときにこの城が築かれ、現在まで改築されることなく……」


「それ長くなるかい?」



「……どうせ最期の時ですので王国の威を示そうと思いまして」



「続けていいよ」


「では、現在まで改築されることなく、数多の戦火が王国を脅かそうとも難攻不落の城としてあり続け、王国民の心の支えになっている王国の象徴にして神聖な場所こそが、目の前にそびえ立つ王城です!」



 うわ、オタクかよ。相槌打っとこ。


「そ、そうなんだ。良かったね」


「本当に」


 何が本当に?



 まあいいや。団長さんの気分を上げれたし、




「【スリップ】」












 ガラッ ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ





お城が崩れ……





 ――ガッシャーン!!!!!!!!!!




たー!!








 城の高さも団長さんのテンションもだだ下がり。 我ながらうまい。




「どんな気持ちだい?」


「……貴様!!!! ぶっ殺す!!!!」




 あら怖いわ、ヨホホホ。


 舐めプなんてするからだよ。ざまぁwwww


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