12話 アジトとカチコミ
「ここがワタシたち〘火鼠の牙〙のアジトだよ♪」
案内されたのは、酒場。結構堂々と居を構えてるんだな。
「おーい♪ 注目!! 新たなボスの初お目見えだよー♪」
「「「「よろしくお願いしやす!」」」」
統率のとれた連中だ。もっとガンつけられると思ってたんだが。
「うん、よろしくお願いするよ」
念の為に外套を貰って、顔を隠す仮面も貰った。無地のだからお金が貯まったら買い換えよう。
「そうだ、ボス♪ さっき〘レフテスの楔〙の一部が勇者を名乗る異界人たちにやられたって連絡がきたよ♪」
「オレっ娘さんは無事かい?」
「うん? それが誰かはわかんないけど、ボスと会ったことがある、手負いのがいる5人組がやれたらしいよ♪」
名前わかんなかった。5人組は戦った連中だ、多分。
「捕まった?」
「ううん、何とか1人倒したんだけど皆殺されたって♪」
なら黒幕RPしてるのを知ってるのは3人だけになったか。安心だ。
あの5人が死んでも別に思い入れもないし。情報が漏れる方が怖いからな。
「とりあえず今は勇者とかその仲間とは極力戦わずに逃げるように伝えていてね」
「了〜解〜♪」
黒幕的には、勇者ちゃんとはちゃんとした場を整えてからちょっかいをかけたいからな。
「まず、ボスには三大闇ギルドの最後の1つ、〘暴走鴉の巣〙も傘下にして欲しいです♪」
ここは従業員室。居るのは俺たち2人だけ。
「なんでわざわざするんだい?」
「ヤツら、王族の一部とも癒着してるから、邪魔してくるからですね♪」
「なるほどね。ボクがわざわざ出っ張るのかい?」
「いえいえ、ヤツらのリーダーをこっそり殺して、副リーダーのハーヴェンって奴にリーダーをやってもらうよう頼んでください♪」
「場所は?」
「ワタシが案内します♪」
「ここです♪」
はい、胡散臭いカジノです。対あり。
「リーダーは最上階の社長室に居ます♪」
「なんで知ってるんだい?」
「密偵を潜ませてるので♪」
「へぇ、そうなんだ」
さてさて、どうやって忍び込もうか?
「その密偵が手引きしてくれたりはしないのかい?」
「あまり長居させるとバレて警戒されますからね、もうやめさせてますよ♪」
「社長室はどこだい?」
「店の裏側の、金の窓の所ですね。」
いけそうだ。
「じゃあ、行ってくるよ」
裏側に来た。と言っても、町の中だから店と店の間の狭いところだけど。警備はまぬけなことに寝てる。
金の窓の真下で地面にうつ伏せになり、壁に足をつける。そして……
「【バックステップ】」
パリンッ!
足をつけた後方、つまり建物に沿って上方向に高速で移動。体勢を無理矢理起こして窓をナイフで叩き割り、縁を掴んで中に乗り込む。
「ナニモンだ、てめえ」
如何にもなやつが驚いて剣を抜く。
それに対してナイフを構える。
「〖chaotic arms〗」
ゴロゴロ
後ろに腕を生やし、頭をぶん殴るった。そのまま頭が転がった。いや、強すぎ。
残りの腕は扉付近に待機させる。流石に誰かしら気付くだろう。
扉が開いた。ナイスタイミング。
「リーダー!?」
無精髭を生やしたおっさんが生首を見て固まってる。
「やぁ、副リーダーを呼んで欲しいんだけど、どうかな?」
「ッッ! 俺が副リーダーだ。あんたは?」
「ボクはこの組織を従えたくて来たんだ」
「……要求を」
「君がこの組織のリーダーになってボクの手足の1つになって欲しいんだ。最初は王族との協力関係をやめるってところだね」
「強い奴に従うのが俺の流儀だ。あんたに従属するよ」
何で会うやつの大半が実力主義ばっかりなんだ(呆れ)
「リーダーになった経緯は適当にでっち上げといてね、あとボクのことはボスと呼ぶようにね」
「わかったよ。ボス」
『【支配】のレベルが上がりました』
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