11話 道中と王都
現在時刻は16時。このペースなら深夜ぐらいに到着するかな? その頃には、 門閉まってるだろうし、王都に入るのは明日になるだろうけど。
魔物と遭遇せずに歩術のアーツを使いながら歩くこと1時間半、それを見つけた。
「宝箱?」
どういう訳か、木の傍にボロい宝箱が落ちてた。
罠か? 遠くから石でも当ててみよう。
……何も起きない。開けてみよう。
パカッ
何も無い。もう誰かが持って行ったんだろう。こんな道端にあったら誰でも気づく。
ん? 待て、箱の大きさに比べて底が上の方にあるように見える。底の下になんかある?
なんと2段構えになっていた。箱の中の角に出っ張りがあってその上に底蓋が置いてあった。中には巻き物が。
…………俺でもNINJAになれますか!?
開けよう。
光った! 忍術が覚えられるのか!?
『スキル:【混沌魔術】を獲得しました』
は?
これ巻き物じゃなくて所謂スクロールとかそういうのか。ハア〜〜
……チラッ
スキル
【混沌魔術】ランク:レア レベル:1
混沌を振り撒く禁忌の魔術。その力が真に君のものかよく考えるべきだ。
〖使用可能な魔術〗
・chaotic arms
なぜ急に英語? 混沌の腕って意味だよな? タップすれば効果見えるかな?
魔術
〖chaotic arms〗
混沌より出づる異形の腕を十本操る。
消費MP:100
消費MPは多いが強そう。早速使ってみよう。木に向けてやろう。
「〖chaotic arms〗」
――ゴボコボ ニュッ
足下に灰色の渦ができて、そこから灰色の太い腕が10本出てきた。こっちを向いてなんか蠢いてる。
なんか手がどこからか生えたような不思議な感覚。自分の手のように使える。振り回してみよう。
え?
木が真っ二つにへし折れた。威力高い。1度当てたら消えるっぽい。あと6本。防御にも使えるか?
要らなくなった初心者の片手剣で試してみよう。
ボキッ
強度はバッチリ。やっぱり消えた。折り鶴でも消えるか?
ポスン
当たっただけで消えた。触れると消える硬い腕の魔術って感じだな。気付かれなければ、強いだろう。
色々試しながら行こう。
王都が見えた。今は19時半。ご飯食べてから色々したが、分かったことがあった。
MPの回復速度は30秒ごとに1ずつだったのと、腕を出すところをバラバラにできて、木を挟んだ反対側もいけたことだ。結構広範囲。腕とか言いつつ掴むのは出来なかった。
ただ、直接の道で、腕を進む方の反対側に出し、体からも出して、ぶつけ合うことでものすごい速度で進めた。おかげで早く着いた。
さて、検問に行こう!
「何をやっているんだ?」
「旅人として各地を巡ってます。」
「身元を示すものはないのか?」
「小さな村の孤児院の出で、持ってません」
「そうか、分かった。通ってよし」
チョロ。今後は身分証とかあった方が便利だな。でもどこで入手しよう?
そんなことを考えながら入ったら驚いた。
今まで見てきたとこと大違いで、道に人が溢れかえっていて、服も小綺麗なものを着てる人が多い。このままだと悪目立ちしそうだ。
とりあえず路地裏に撤退!
路地裏の散策をしよう。そうしよう。
表通りで服を買いたいが、いかせん無一文だからな。
「お兄さん♪ お早い到着だね♪」
このあざとい感じ……
「迷子ちゃんか」
「ヌアテですよー♪ お兄さんはなんで正面の門から入ったんですか?」
「? 裏口でもあったのかい?」
「じゃなきゃワタシみたいなのはすぐ捕まっちゃいますよ♪」
「また今度案内してね、あとボクのことはボスって呼んで欲しい」
「了解♪ ボス♪」
うん。統一した方が反応しやすいしな。
「とりあえずアジトに案内するね♪」
「お願いするよ」
悪の組織のアジトとか、男心をくすぐられるな!
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