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伝わって欲しい……か。
うん……ちゃんと伝わってるよ、氷。
どれだけ一緒にいたと思ってるの。
どれだけの時間、友達の時間も好きになってからの時間も、重ねてきたと思ってんの。
絡まる指に、きゅっと力を入れる。
今は、他の人の目があって、こんなことしか出来ない。
こんなことしか出来ないけど、でもね、でもね氷。
「わ、私も……だから」
「うん?」
「…………………………ぁぃ……してる、から」
頭が熱い、氷にこんな顔見せたくないけれど、覗き込んでくるのがそう、コイツなんだ。
「ふふ」
「アンタみたいに人たらしかってくらいな言葉はでてこないけど」
「和香たらしだね」
「ちゃんと、氷のこと……私だってみてる。……ほとんどの記憶がギャルだけど」
「ギャルもまぁ、思い出だよねー」
「ギャル抜け切ってないけどね?」
「そんなギャルの佐藤さんもどうですか?」
顔をまた近づけてニヤッと笑う氷は、ギャルをしていた頃のニヤリとした顔をしていて。
「…………すき」
「ギャルの俺の事も好いてくれるの?」
「佐藤が、佐藤であることに変わりはないから」
そう、私も伝えれば、氷は優しい顔をして私を見ていた。
「だから、和香のそういう所が、大好き」
観覧車はもうすぐ、地面に戻ってくる。
佐藤といたけど、騒がしくなくて、とてものどかで、柔らかで、リラックス出来るような空間だった。
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