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「暑い……」
「今日30℃まで上がるらしーよ?」
「…………あっっっつい……」
そりゃあ暑いはずだわ。
まだ夏本番じゃないくせに、殺人的な暑さがすぐそこに…………ていうか暑い。
「離れて」
一応ミストの設置してある真下にいるわけだけれど、それでも室内よりずっと暑いんだからね。
二人から挟み撃ちにされ蒸されて暑くなっている向こう側から、「あら、モテモテ」なんて悠長な言葉がかけられる。
氷の腕で見えないけれど、これは緑の呆れたような声だ。
「タスケテ……」
「ほら二人とも、外でそんな暑苦しいことしてないで、また和香倒れちゃうでしょう?」
「え!それは大変だよっ!のど大丈夫?暑いの!?」
両腕をひしっと掴まれたと思ったらグラグラと揺らされる。
まってまってまって、頭がくらくらしてくるからやめて。
「暑い……」
「どうしようさとちん!?のどが暑いんだって!!!」
「アンタたちが離れれば解決すんのよマリモ」
氷は肩をふるふると震わせ(笑ってるなコイツ)、鞠は「えぇ!!!」なんて言ってからバッと離れてくれる。
同時に氷も離れて、心地よい……ともなんとも言えない生ぬるい風に当てられた。
どっちにしろ暑かったのでアイスが食べたい。
「で、そちらの方は?鞠は私と一緒に来たから、連れてきたのは佐藤?」
渚くんのことを思い出してそちらに顔を向けると、額に手を当てて震えている彼がそこにいた。
また笑われている。
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