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とても元気に走り回る彼女を頭の中に浮かべていると、想像上の鞠が急にこちらを向いて『マリちょこまか!?』なんて言ってくるからちょっと笑ってしまいそうになる。
あの子ならそんなことを言いそうだ。
「その、マリちゃん?俺の友達が一時期気になってたらしくて」
「あぁ……マリリン誰にでもフレンドリーだからね」
「アンタもね」
割と誰にでも話しかけている印象のある二人だ。
佐藤も結構男の子かの誘いは受けていたらしいけれど、今回男だったと判明した件でそれもほとんど撃沈されたことと思う。
……少なくともナンパ程度の軽い人たちはきっと、もう言い寄っては来ないんじゃないかな。
……でもそうなると、今度は女の子たちが寄って来るかもしれない……なんて思うと、また心に陰がさす。
氷が……モテちゃうようになったらどうしよう……。
その時トトトトッという走る音がだんだんと近付いてくる音に気が付いて顔を上げる。
氷もそちらをみていて、私が足音の聴こえる方へと振り向くと。
「の、ど、りんりーーーーん!!!!」
「ぶふっ」
いつもと違う謎の呼び方をされながら猪のように突進してきた彼女……そう、こんな猪突猛進な子は鞠しかいない。
私のモヤモヤした感情なんて物理的刺激によって吹っ飛ばされてしまった。
頭突きされた肩が痛い……。
「鞠」
「あー!マリリンずるい!!俺も和香ぎゅーっ」
後ろから氷に頭を抱え込まれると、その腕でいよいよ視界が塞がれてしまう。
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