9



なんというか渚くんは、氷や鞠ともまた違った自由さのある人なのかな?という印象だ。


気付いたらどっか飛んでいっちゃってるような自由さじゃなくて、どこにでも飛び込んでくるような自由さ。


澄ました瞳で静かそうに綺麗に佇んでいる割には、結構ズバズバと切り込んでくるし……氷と緑を足して2で割った感じ。




とすると、意外と私たちとの相性は悪くなかったりするのかもしれない。




「一応聞いておきたいんだけど……私たち4人のことは知ってた……?」


「あぁ、細かくは知らないけど……佐藤がいつもグループで集まってんなぁ、仲良いなぁって程度で、あんま他の人たちは知らないけど、一応認識はしてた」




私たち自体には興味はない感じか……?


そうすると緑にとっては都合がいい。


あの子は媚びられたり馴れ馴れしくされるのを嫌うから、それくらい興味がない方が気が楽だと思う。




「あ、でもあの子いるでしょ。えぇと……マミちゃん?」


「誰」


「いやたぶんそれマリリンじゃない?マだけ合ってるとするなら」


「鞠のこと知ってるの?」




いや、名前もあやふやなのに知ってるか聞くのもおかしいかもしれないけれど。




「そうそう、マリちゃんか。なんかすっごいちょこまかしてる子」


「ちょこまか」


「ちょこまか」




確かに、あの子はちょこまかしている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る