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……もしかして。
「佐藤のこと前から知ってました?」
「そうそう。急に男だって知って、それはもう俺たちの周りではしばらくその話題でいっぱいだったよね」
「話題にされてるよ佐藤」
「らしいねぇ」
やれやれと、両手を軽く上げる氷も、話題にされていたことは知っていた様子。
あれだけ派手だった子が急に男の格好をしてきて、赤い髪という名残がかろうじてあったんだから、それは噂もされるのかもしれない。
というかそもそも今、氷は名前を公表しているのだろうか?
蜜と名乗っているままなのか?
そこがわからないうちは、校内では一旦佐藤呼びの方がいいかな。
渚くんはスっと氷に視線を向けて首を傾げる。
「それで急にどうして男装し始めたのか?女は捨てたのか?って思ってて、今日ちょうど隣の席に座ってたから話しかけてみたんだよね」
「そもそも男だったから本来はこっちが普通なんだけどね」
けれど、そうか。
周りから見れば氷の変化も、意味の解らないことなんだよね。
その背景にある家族のこととか、私たちが知ったこととか、私と付き合ったこととか、そういうのを丸ごとすっ飛ばしてのイメチェン(?)だったわけだから。
よくこの人、氷に話しかけられたなぁ……。
私なら思ってはいても話しかけなられないと思う。
氷はこの手のことでよく話しかけられるんだろうか……。
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