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そう考えてしまうと……まだ今後どうなるかもわからないのに、私の方が苦しくなってきてしまう。
きっとお金のことは理事長が、氷の時のように支えてくれるんだろう。
けれど、人と同じルートを辿れなくなってしまった人生とはどれだけ混乱して、どれだけ乗り越えなければいけない壁があるのか……私にはそれを知る術もない。
「和香、すーごい眉間にシワ寄ってる」
「いや……うん、困ったことがあったら本当に、何時でも頼って欲しい」
「何時でもって?」
「蜜ちゃん……私たちがどこまで支えてあげられるかなんてわからないけど、何が必要で、何が困るのかもわからないけど……」
「あぁ、和香は蜜の為にそんなに考えてくれてたのか」
触れていた手を離し、背中側から頭を撫でて、そのまま氷にもたれ掛かるように、頭を引き寄せられる。
「ありがと。すっごい心強い。あーしら4人いればきっと、なんだって出来ちゃう」
「なんだっては、ムリ、かも。……あとまたギャル口調になってる」
「和香のせいでまた泣いちゃいそうなんだもん。誤魔化させてよ」
「蜜ちゃんの前でも、ギャル出ちゃうよ?」
「んー……まぁ、そん時はそん時で」
ちゅ、と額に唇が落ちる。
その感触に視線を上げると、微笑みを向ける氷の顔があって。
「あ、そういえば緑からのポーチ受け取れた?」
その顔を見ていたら、ふとその事を思い出した。
はっとした氷も、カッと目を見開く。
「……そうだよ!!みどりんめっちゃ神だった!!!」
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