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「看護師さんたちにも話してなかったの?女装のこと」
「女で通してきちゃったし、三人兄弟かと思われてたみたい」
それは看護師さんたちも蜜ちゃんも衝撃的だったことだろう……。
なんせ私たちも通ってきた道だ、あの衝撃的な気持ちはよくわかるよ。
「三人兄弟って?」
「妹、いつも見舞いに来る姉、この前女連れて見舞いに来た兄」
「女連れて……って、それ私ってこと?」
「そう。髪同じ赤色だからお兄さんなんじゃない?って思われてたらしい」
「髪色で判断されてたのか」
まったく、彼一人が登場しただけでどれだけ場をざわつかせてるんだか……ちょっと見てみたかったその光景。
「妹さんの反応、どうだったの?女装初お披露目だったんでしょ?」
「あぁ……うん、ね……」
スっと視線を外す氷に、酷いこと言われたのか?と少し心配になる。
なんとも言葉にし難そうな顔で、宙をさまよった視線は私に戻って来ると。
「俺だってわかった瞬間、ぎょっとして固まって……頭掴まれた」
「頭掴まれた?」
「それ、から……」
なんだ、何があったんだ。
口を開けば言葉を飲み込んで、また口を開く。
「すげーボロボロに、泣いてた、気がするんだけど……」
「気がする?」
「いや、俺もすげぇ泣いてたから蜜のこと見えなくって」
お互い泣いてて蜜ちゃんの反応どころじゃなかったのか、と悟る。
「息が抜けるような声で笑われてた気もする」
「ギャルがボロボロに顔崩しててそれがお兄ちゃんだったんだから、笑わない理由がないと思う」
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