after story 4

1



もぞもぞ、もぞもぞ、寝苦しさに目が覚める。


うっすらとした視界の先に見えるのは、うっすらとその柄を映すカーテン。


外が少し白んできている頃だろうか、部屋の中は薄暗いけれど、ものの影が微かに見える。




暑い、身動きが取れない、布団に絡みつかれて身動きが取れない、どことなく腹部と足の上がなんだか重い……なんだこれ。




────そういえば、床で寝ていたはずの佐藤はどこ行った……?




ここに来てようやく、頭がスっと冴えてくる。


まずこの夏用布団に絡まって肩から脚まで動けなくなっている状況、布団を挟んだ背中側にある熱、腹に絡まる……こいつの腕、そして見えないけれど足の重みも。




なんということだ、寝る前に簀巻きにしてやるなんて思ってしまっていた私が悪いのだろうか?


気付けば私は佐藤の腕の中で簀巻きにされていた。




あつい、夏用布団でもぐるぐる巻きは流石に暑い。




いつベッドの上に登ってきたのか、なぜ私が簀巻きにされているのか。


佐藤氷という男の行動が予測不能すぎる。




「佐藤?……ねぇちょっと」


「すー、すー」


「氷ってば!」




身動きを封じられて佐藤の顔すら見えない……!!


このまま後頭部で頭突きしてやろうか。


ちょっと距離感がわからないけれど、頑張ればきっとクリーンヒット狙える。




よし。


私は3,2,1とカウントダウンを始めるけれど。




「わっ」




急に、佐藤の腕や脚に力が入って、抱え込むように丸まる。


私を巻き添えにして。


より暑くなった。

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