3



その言葉に、「お?」「佐藤が息を吹き返した?」なんて、鞠と緑が顔を覗き込む。




「のーひんけつ、ぽい」


「NO貧血?」


「アホか。脳貧血でしょ」




鞠のアホっぷりに、また微かに佐藤の肩が震えた。


これ笑ってるな、意外と心の余裕はあるようだ(?)




「脳貧血ってことは血圧が一時的に落ちたとか、そういうこと?よくあるの?」


「………………まれ」


「稀、ってことは経験はあるってことか」




一応スマホ片手に待機していた緑は、大丈夫そうか?とポケットに仕舞う。


佐藤の腕の力が徐々に抜けてくるのを、私は肌で感じていた。




落ち着けるように、緩やかに彼の頭を撫でる。


そんな私の頭もなぜか、鞠に撫でられている。




「マリモはなんで和香の頭を撫でてるの?」




ついに緑が私も謎だと思っていたこの行為に切り込んだ。




「え!?だ、だって、さとちんはのどが撫でてるから……」


「え?」


「のどもちょっとキョドってたし、マリもなんかソワソワしちゃって……!!」


「ソワソワしてたから待機ついでに撫でてるのか」


「ホントは抱き着いてよしよししたいのを我慢してるんだよぉっ!」




なるほど、鞠も心配してどうすればいいのかわからなかったらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る