2
ソファーへと移動して座る私の腰にひっつき、膝枕をする佐藤。
どうすればいいのかわからない鞠が、なぜか私の頭をひたすらに撫でるという奇妙な構図が出来上がっている。
佐藤の体は未だ震えていて、先程よりは呼吸が安定しているようだけど、それでも少し苦しそうで。
腰に回された腕が、石のように硬く、緊張していた。
緑が渡してくれたタオルで、額に滲む汗を拭う。
少し見える顔色は、まだ青白いようだった。
「佐藤……?大丈夫?吐いたりしそう?」
ふるふる、力なく横に振られる顔に、少しだけ安心する。
電話の前までは普通だったから、精神的なものか……チョコレートケーキが体に合わなかったかの二択になるんだけれど。
お酒とか入ってたとしても、佐藤は私より強いはずだしなぁ……。
キッチンから戻って来た緑が、タオルにくるまった何かを持っていた。
「これ一応氷枕なんだけど……和香の膝に敷いたら冷えるわね」
「佐藤の頭に乗せる?」
「重くない?」
「落とした時にのどの足が犠牲になっちゃぅんじゃないー?」
「え、落とされる前提なの?」
こんな時でも私たちはこんな会話をしていて、微かな吐息を腹部に感じた。
「佐藤笑った?」
「え、さとちん笑った?生きてる?」
「死んではないでしょ」
「力入らないけどちょっと笑った気がする」
顔を少しだけこちらに向けた佐藤の瞳が、少しだけ緩むように笑む。
数度、深呼吸をした佐藤は、「ごめん」と微かに言葉を吐いた。
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