第4話
ダンジョンに訪れる冒険者たちはオレたちを倒すために、予告無しで急に現れ戦いを挑んでくるのだ。(もちろんダンジョンに行くことをあらかじめ知らせてくる冒険者など居るわけが無い)
数分後か、数時間後か、それとも数日後なのか…。
いつ始まるかわからない戦闘の可能性を常に抱えながら過ごす時間を、のほほんと気を緩めて過ごすことなどできるわけが無いのだ。
食事中でも、仮眠をとっていても、息抜きに部下たちとトランプに興じている時でも。
いつでも頭の片隅には『もしかしたら、もうすぐ冒険者が来るかも…』という意識がある。
ダンジョンに居る限り、そんな意識を切り離すことなど不可能なのだ。
ダンジョンモンスターにとって、そんなことを考えずに、ゆっくりと休息をとれるのはダンジョン勤務を終えてダンジョンの外を出て完全にフリーな状況で休む時だけなのだ。
そして、シフトで働くザコモンスターたちには定期的にそんな『何も考えずに安息の休みをとれる日』もあるが、なんども言っているようにダンジョンの中ボスという役職に就いている期間中、オレは365日24時間ダンジョンの中に居なくてはいけないのだ…。
おわかり頂けただろうか?
オレにとって本当の休息というものは、ダンジョンの中ボスでいる間には決して訪れないのだ。
そんな現実にタメ息のひとつもつきたくなるのは当然だろう。
「はぁ…」
すると部屋のドアが勢いよく叩かれ、外から部下のモンスターの声が聞こえてきた。
「バチュリアスさま!!起きていらっしゃいますか!?」
「…ああ。どうした」
オレの返事を受けて、部下のモンスターがドアを開けながら答えた。
「大変です!!冒険者が来ました!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます