第11話
そうして時は過ぎ祭壇には両手両足を縛られていた拘束は解かれ波斗は意識を戻した
指を、手を動かす、身体は動けるようだ。恐る恐る波斗は体を上げた。
「え!?なんだ?どうゆう事だ!?」確かに胸の黒い染みは消えていた。
いざ体を見ると自分は何も身に着けてなかった。
慌てて何か着るものはないかと周りを見渡したが暗い洞窟が広がるだけで何もない
瑠子がどこかで見ているかもしれないと思うと再度見渡すと瑠子は岩石の傍で眠っていた、起きる様子は無い。
波斗は瑠子の横で脱げたままになっていた藍色の衣を見つけるなり
何とか下腹部に衣を巻いてやっと一息つけた。
横になった瑠子は藍色の衣で隠されていた無防備な姿で目を閉じていた
その様子はどこかぐったりとしていて顔が少し青い。
『毒を猛毒で治す』
ふとその言葉を思い出してもしかしたらと波斗は心配になり
瑠子の頬に手で触れた。
するとそこで気付いたみたいでパチリと瑠子目が開いた。
「あっ、気が付いたみたいだね。良かった。」
むくりと起き上がった瑠子は波斗の手をもういいから、という風に元の位置に戻した
「あ、ああ。死ぬかと思った」
「死なないよ、言ったでしょ?元に戻すって」
二人の視線が重なり合う、瑠子の眼差しはまっすぐに波斗を見つめていて恥ずかしさで波斗はふっと視線をそらした。
「戻るって…火を使わないといけない程俺は重症だったのか?」
「あれは火じゃないよ」
「えっ…?」
「人間は光を目で一部の光る色を見ている」
そういえばそんな事言ってたなとその記憶も遠い昔に感じる程だった。
「君の目から灯台灯ってる朱く舞う光を見て火だと認識してそこから変化が起きただけ、熱いと感じた?」
「あ、あぁ…」
全て納得はいかない程瑠子のする話は不可不思議だった。
「俺みたいになる人他にもいたのか?」
ふと波斗は疑問が浮かんだ
「文書では聞いてたけど出会ったのは君が初めてだよ。」
「だから作法が上手くいきますように、いきますようにと何度も天にお願いをして、あっ…」
突然瑠子の顔が赤くなった、波斗は思い出していた。
最後二人は炎の中で何度も口づけよりも深い口づけを交わした事に
「情熱だけは伝わったよ、ありがとう。一生ない体験だったよ。」
波斗の言葉に瑠子はさらに顔をそむけた。
「とりあえず着るもの無いかな?ずっと俺素っ裸のままあなたと向き合えずらいよ」
その時に瑠子は自分の身に着けていた藍色の衣が波斗の下半身を覆っているのに気づき立ち上がった。
「ご、ごめんね!今から別室で服とお茶を用意するからっ」
慌てて瑠子は祭壇の奥へと消えていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます