第6話 美音ママの霊、アスカの考察

どもー、アスカでーす。今回はちゃあんとアポ取りしてから来ましたよ。

エヘッ、ハッピー君に叱られちゃった。ハッピーごめんね。愛しているから許して。

美音ママのひとりごと、聞いてくれてありがとう。

私も一緒に聴いていて思ったんだけど、実は美音って今が一番シアワセなんじゃないのかな、って思った。ハッピー君の死を通して今まで経験したことのない心の痛みや、苦痛や、哀しみをこれでもかっていうくらい味わったおかげで今の生活を享受できてる。おそらく美音は人生で生まれて初めての長い長い休暇を神様からプレゼントしてもらったんじゃないのかな。

そりゃもちろん歩けなくなるくらいのひどいめまいやふらつきや、救急車を呼ぶくらいの発作を体験して大変だったと思う。私も見ていてつらかった。でも生きてるじゃない。

そして、その経験を通して美音を助けてくれる人たちの思いやりや温かさ、やさしさをたくさんたくさんもらってすごく嬉しかったでしょう?

私からみたらこんなシアワセな人どこにいるのよって感じ。

あとは美音がそのことに気が付くかどうか。そして気が付いたのなら、毎日感謝しながら喜んで、そのシアワセを今度は美音が与えてあげられるかどうかが大切なんじゃないのかな。

「人はかなしみが多いほど、人にはやさしくできるのだから」って武田鉄矢さんの歌にもあるでしょ。

世の中で美音一人だけが悲しいんじゃないよ。つらいんじゃないよ。

その貴重な経験を使って美音がこれからどのように生きていくのかがもっと大事。そういう意味でハッピー君は美音にかけがえのない経験をくれたのだと思う。

神様は意味のない無駄な経験を人間にさせないと私は信じてる。

与えるのも神様、奪うのも神様。奪ってからまたさらにもっと良いものを下さるのも神様。って先生が言ってた。


世界的な作家、ロシアの文豪、ドストエフスキーは無実の罪で死刑宣告されて、処刑される5分前、人生のすべてに感謝した。処刑までの5分間、好きなことしていいよって言われて、その5分というすべての時間を全部、ただ感謝するところにだけ使った。まだ20代後半の青年だったのにね。

そして、彼に奇跡が起きた。

なんと処刑が中止されたの。その後彼はシベリアに送られ、強制労働をした後で釈放されたの。彼は誰も恨まず、誰も憎まず、自分の人生にかかわってくれたすべての人に感謝し、最後に神様に感謝の祈りを捧げた。

その後の彼は時間というものの価値を骨身に染みるほど悟って、世界的な名作を残すという偉業を成し遂げた。

感謝することは、まさに祝福の扉を開く鍵と同じだって、私の先生もおしゃってた。

だから美音も、今までたくさんの人たちに助けてもらったのだからその方たちに感謝して、それから神様にも感謝しながら美音の位置でできることをしたらいいと思う。そういう生活自体が美音の霊である私の成長にもつながるし。まさに一石二鳥。ねえ、美音、私もっと成長したい。

美音はひとりじゃないよ。たくさんのひとたち、家族、そして神様がいる。

ハッピー君も美音のパパも美音の中でいつも美音を応援してくれている。私もそう。

神様はね、いつも美音を見守っているよ。そして必要な時には、ありとあらゆる人や万物や状況や環境を使って助けてくれている。気づいてた?

そして神様は、唯一人間の中にだけ霊をおつくりになった。なぜだと思う?誰のため?何のため?


聖書にはこう書いてある。

「神のなされることは皆その時にかなって美しい。神はまた人の心に永遠を思う思いを授けられた。それでもなお、人は神のなされるわざを初めから終わりまで見きわめることはできない」伝道の書 3章11節


人間は自分の霊の存在を本能で嗅ぎ取っている。そして誰でも自分が死んだあとの世界について知りたいと願ってる。

本能的に霊を感じながら、同時に不老不死や長寿を夢見る。

でも、肉体が永遠に生きることはできないの。そりゃあ健康管理を徹底的にすれば健康寿命は延びるでしょう。でもせいぜい数年から数十年。やがていつかは必ず死が訪れる。誰にでも必ず。そして人間の肉体は死んだら土に帰って終わるの。生まれ変わりは無いの。

ただ、人間の中に存在している霊が、その人が生きてきたとおりにふさわしい霊界に行って永遠に生きる。


神様はなぜ、人間に霊をおつくりになったのか?

それはね、人間が神様のいる天国に来て一緒に暮らすことを願っているからなの。そのために霊をつくった、というわけ。

だから、人間が毎日何を考え、どのように生きるのかがあまりにも大事なんだって。生きてきたとおりの霊界に行くことになるから。

今日の私の話はここまで。

美音、一緒に頑張ろうね。











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