燎原の森エルフ ~外れスキルをレベル999に育てて調子に乗ってるやつらがむかつくので、当たりスキル【火魔法】をレベル999に育てて焼き尽くす~
10-5. 全長12メートルの巨大白ゴリラに遭遇するエリー
10-5. 全長12メートルの巨大白ゴリラに遭遇するエリー
「う、うわああああ!!」
「化け物だぁ!!」
「オタスケェー!?」
突如現れた、全長12メートルの巨大白ゴリラ。
崖観光に来ていた民衆は転げ落ちるように山頂から逃亡し――中には本当に転げ落ちた者もいたが、問題なく立ち上がってまた走り出した――、留まったのはエリー達を除けば数名足らず。
「エリちー! ここで大規模な【火魔法】を使うと雪崩が起こって大変なことになったから注意して!」
「あ、うん」
反射的に全長12メートルの巨大白ゴリラを焼こうとしていたエリーは、ローズマリーの言葉で魔力を引っ込める。
「全長12メートルの巨大白ゴリラがなんぼのもんじゃい! ワシの全長2メートルの大剣を喰らえい!!」
その場に残っていた1人、大きな剣を背負った巨漢のヒュームが意外な程の俊敏さで全長12メートルの巨大白ゴリラに斬りかかる。
「ウホホッホ!!」
「ぬわー!?」
しかし全長12メートルの巨大白ゴリラはその攻撃をものともせず、分厚い毛皮と筋肉によって弾き返してみせた。
「ウッホホーイ!!」
そしてそのままの勢いで、体勢を崩したヒュームの剣士へ跳びかかり、頭上から両の拳を叩き付けんとする!
ヒュームの剣士は腰が抜けた様子でその場から動くこともできず、ただ茫然と全長12メートルの巨大白ゴリラを見上げていた。
「キュキュキューッ!!」
「ウホッ!?」
そこへ割り込む1人のドワーフ、ヒタチマル。
元より筋力に優れたドワーフという種族が、【豪腕】スキルによって乗算される。
その力は全長12メートルの巨大白ゴリラの巨体すらも受け止めた。
「キュキュッ!」
「す、すまん、助かったのじゃい!」
我に返ったヒュームの剣士は、取り落としていた大剣を拾って山を駆け下りていった。全力の一撃が容易く弾かれた以上、ここに残っても何もできないと悟ったのだ。
同じように様子を見ていた者達も、自分の手には負えないと見て退散した。
「きゅきゅぅ……!」
「ウッホゴッホ……!!」
両手を互いに掴み合った状態で拮抗する全長12メートルの巨大白ゴリラと、その10分の1程の体躯のヒタチマル。
いかに体重差が大きいと言っても、全長12メートルの巨大白ゴリラはスキルによって力が強化されている様子はない。
また、10分の1程のサイズの相手と組み合うのはかなり姿勢的に無理がある。下手をすれば腰を痛める可能性すらあるのだ。その質量と頑丈な肉体を活かし、普通に殴りかかるなどした方が強い、のだが、全長12メートルの巨大白ゴリラはその場の空気に飲まれて、ヒタチマルと純粋な腕力勝負を行ってしまったのだった。
もちろん、エリー達もその戦いをぼんやりと眺めていたわけではない。
「≪ファイアバレット≫!」
「ゴ……ホッ……」
全長12メートルの巨大白ゴリラの背後より、斜め上へ向けて魔法を放つ。
貫通力を重視した炎の弾丸は全長12メートルの巨大白ゴリラを尻から脳天を貫くように抜け、そのまま空へと消えていった。
「何だったんですか、今のは。この辺りに全長12メートルの巨大白ゴリラが出るなんて情報は無かったはずなのに……」
少し離れた場所で戦闘を眺めていたジローが恐る恐る近付いてくる。
「ひょっとして、この全長12メートルの巨大白ゴリラが四天王だったのかな」
「有り得ますね。ただの全長12メートルの巨大白ゴリラが、こんな場所にいるはずがないです」
「キュキュゥ」
「相手の状況を知るためにも、できれば一度は対話から入りたかったですけど」
「まあ、これは対話のできる相手ではないわね」
「全長12メートルの巨大白ゴリラだからねぇ」
「キューキュー」
物言わぬ
その後ろ姿を物陰から見つめる人影、そして、
「……ウホッ」
明らかに先程まで何もなかった場所から新たに現れた、全長20メートルの巨大白ゴリラには気付かないまま。
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