第3話 小竜との出会い
山賊たちとの戦いも終わり三か月がたった。
町はすっかり紅葉の時期に差し掛かっていた。山は赤や黄色に染まりつつあり山頂のほうにはうっすら雪が積もっていた。風は涼しくてきもちいい。
捕虜としてとらえられていた。山賊たちもすっかり溶け込んでいた。
この町ならではの光景が見えるのである。
晴天の日の昼間空高くに飛ぶ大きな影が地上に映し出される
「あれ?この影」僕は指さした。
「カレーン」
「どうした?」
「空見てみてよー」
「すっげー」
「大群だ」
空には100を超える竜が飛行していた。この時期になると山頂を目指して竜たちが集まる。そしてしばらくするとまたどこかに飛んで行ってしまうのだった。
すると
「おいおい、あの竜一匹だけおちてきてるぞ!!」
「あっ」
「このままだと落っこちるぞ」
「よし見にいくか」
僕とカレンは急いで馬に乗り山の中へ猛ダッシュで移動した。
獣道を進み木々を避けながら走る
ズドンと大きな音がした。
「近いはずだ」
「ここら辺のはずなんだけどなあ」
するとそこに一人の少年がたっていた。
シルバーの髪の毛。体には赤い線が描かれていた。
よく見ると傷だらけで今ケガしたばかりであった。
「すみませーんこの辺に竜って落ちてきませんでした?
声をかけるカレン
「落ちてきたけど!」怒った声で言う少年
「どこらへんにおちたかわかりますか?」
「ここだよココ」少年はいう
「え?どういうこと」エレンが言う。
「竜が消えた?」僕は言う。
「まあ消えたというか人間の体になったというか」少年はいう。
「本当に竜なの?」
「ああ、そうだとも。偉大なるな!」少年
「えっじゃあ竜は人間ってこと?」
「そうじゃない。もともと竜だけど地上に降りるときは人になるようにしているだけ、じゃないとびっくりしちゃうし建物とか壊れるからね」
「ふーん。意外ときーつかってるわけね。それでなんで一人だけ落っこちてきたの?」僕は言う。
「それはだなあ。。」
なんだか言いたくなさそうにしている。
「はあん、いじめられてたんだなお前」カレンが言う。
「違う!喧嘩したんだよ!!それでしばらくこの森で暮らそうと思ってるんだ」
「暮らすってどのくらい?」
「まあ、ずっとかな」
「ずっとって。君名前はなんて言うの?」
「俺はレイン。こうみえても竜王族っていうやつさ」
「竜王族??」カレンが興味本位に聞いた。
「竜王族というのは
「俺たちの祖先が最初に生まれそのあといろいろな竜族が生まれたんだ」
「他の竜となにか違うの?」
「そうだなあ。死なないってことと・・・」
「死なないって不老不死ってこと」
「そういうこと。後は・・・まあいろいろだな」
「へえー」
「よかったら町に遊びに来るかい?」
「まあ俺は構わないが。竜がきたらみんなびっくりするだろう」
「大丈夫だよみんな。わからないからさ。今人も足りてないんだよ」
「は?足りてない。なにが」
「まあいいからいいから」
僕は馬にまたがり後ろにレインを載せる。
しばらく走ると村が見えてきた。
「気持ちいいな風が」レインが言う。
「そうだな。この季節が一番飯もうまいし、酒もうまい」
「お前その年で飲んでるのか?体壊すぞ」レインが助言する
「ははは。竜族は飲んだりするのか?」
「まあな。人間からの差し入れや好きなやつは人間の姿になって飲みに行ってるけど」サラッとレインがいう。
「気になることがたくさんあるが、差し入れって?」僕はレインに聞いた
「お酒を置いて祈ってるだろ。それを人間が帰ったら飲む!ただでくれるからな、その代わりに俺たちは人間に危害を加える者たちを追い払っているんだ」
「何かと役に立ってるんだね」
「村の人には俺が竜族であることは言わないでくれよ、ややこしくなるからな」
「わかったよ」
3人で村に帰るとゴンタが迎えてくれた。
「ただいまー」僕はいった。
「お帰り。その人だれ?」
「ああ、さっき友達になった。レインっていうんだ」
「レインだ。よろしくな」
「よろしく。僕はゴンタ」
「今日はみんなでご飯を食べようと思ってさ、ご飯できてる?」
「さっきできたみたいだよ鐘の音がなってたから」
「ならいこっか?」
「いいのか、わしがはいっていっても」
「だいじょうぶだって」
町の中心にあるごはん小屋では毎日3食分の村全員分のごはんを作っているのだ。
中に入ると。もくもくといい匂いが立ち込める今日はシチューだった。
「うわーいい匂い」
「・・・これはすごい」
「ここのおぼんとはしやスプーンを取ってご飯をもらうんだ」カレンが教えてくれていた。
「おばちゃんこんばんわー」
「あらウララちゃんにカレンちゃんいっぱい食べていってねー」
「うん」
おばちゃんの前に立つとご飯のっけてくれる。今日は香草とジャガイモが入ったシチューもセット。
席に座った4人は。
「いただきまーす」
「いたたたきまーす」レインが言う。
「初めて使うなこの箸というものは。なかなか難しい」
「なれるよそのうち」
「おいしいー」
「うっ・・・こんなうまいものは初めて食べたぞ」
「普段は何食べるの?」
「海に潜って魚食べたりかなあ。でも火を使ったりはしないから新しい感じがするよ」レインは嬉しそうに答える
「海に潜って魚、」ゴンタがびっくりしている
「今日よかったらうちに泊まる?」僕は聞いた
「いいのか?」
「いいってことよ」
「ならこの後みんなでウララの家にいこっかー」
「賛成ー」
ウララたちは食事を終えウララの家に向かった。
ウララの家は2階建ての家に一人で住んでいた。
家は豪華で立派なつくりをしていた。
「すっげーいい家だな」レインが驚いていう。
「いいだろ!一人で住んでるんだ」
家に入ると整理整頓された家であった。
殺風景ではあったが、一人暮らしにはとても広い家であった。
「ここでご飯とか作ったりもしてるのか?」
「ここの村はご飯とかは全部さっきのごはん小屋で作ってくれるから、家で食事したりすることは僕の場合はないけどね、なかには家でご飯作っている人もいるらしいけどね」
「へーそいつは便利だな。ただ飯が食えて」
「タダじゃないんだな。僕とカレンは午前中は馬で羊の手伝いとか山へ山菜に出かけたり、この時期になると収穫なんかもあったり大変なんだよ」
「レインもここに住むならあした村長にあいさつに行くか」
「そうするか」
そして3人はいろいろなことを話し合った。騎士を目指していること、村のことなどいろいろ話した。レインも修行をすること。そして3人は気づいたら寝てしまっていたのだ。
****
「ヤバイ遅刻するぞ!」カレンが飛び起きながら声をかけた。
「ヤバイ!」
「えっ何が」
3人はすぐさま家を出て村長の家にいった。
「なんでそんなに急ぐのさ?」
「村長は朝早くに出かけてしまうから夜まで帰らないんだ」
ドンドンドン
「村長ー」
ギイー古いドアが開いた。
「やあ、おはよう」
「おはようございます。村長」
「今日は新しい人を紹介したくてきました」
「おや、どれどれー」
「初めまして、俺はレインという。よろしく」
「レイン君というのかね、失礼だがあなたは人間ではないようだが」
村長はレインを優しく見つめて声をかけた。
「はい。俺は
「友達になったんだ」僕は言った。
「そう友達」続いてカレンも言う。
「ほうほう、そうなのじゃな、まあ村の者にはだまっておこう。よし、そうと決まれば、レイン君にも仕事をしてもらわないといけない、君はこの二人の監視をするように!!」
「えっ」
「か、監視!!」
「別にへんなことしてねーだろ」カレンが突っかかる
「これは決定事項である。わかったかなレイン君」
「はっはい!!」
「でわ、よろしく!」
三人は外に出た。
「ふー。監視とはまいったな、でも楽そうな仕事でよかったな、畑仕事とかたいへんだからなあ」
「いやあ、全然いいよレインあなたの仕事ほど楽な仕事はないわ」笑って言う。
三人は笑いながら馬に乗り羊たちの世話に向かった。空は高くそして風も気持ちいい夏は終わりを告げようとしていた。そして木々たちはきれいな緑色から赤そして黄色に変わり始めていた。そしてこの世界も変わり始めていた。
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