6.俺の別世界転生 前編


「おう、また会ったな」


ファンタさんっ!?


あ、あ、あの大勢の中から知り合った一人にまた会うって凄くね!?やばいだろ!

俺は興奮しながら話しかけた。


「ファンタさん、お久しぶりです!」


「いやいや、「久しぶり」なんて言うのはまだ早いだろ?」


「そ、そうでしたね」


いや何言ってんだ俺!?「久しぶり」は早いだろーが!

「ファンタさん、何故ここに?この店、余り人気ないのでは?」


「おい、それは静かに話せ。あっちの席の客に店員さんがご注文聞いてるんだからな」


うわぁぁ?!やばいな!聞こえてないよな!?いやいや聞こえてるだろ!


「て、店員さんには聞こえて…?」


「大丈夫だ…多分」


た、多分…?聞こえてるんじゃね?

「あ、あのぉ…店員さn」


「はぁあああぁあぁい!何でございましょうか!?」


「いえぇぇ!何でもッ!」


駄目だ、この店員さん。まあ、でも聞こえていないらしい。

俺は席に着き、改めてファンタさんを見る。

ファンタさんは水色の刃の剣を持ち、青いマフラーを着ていた。

剣士のセットはそんな装備があったのか……名前にお似合いの色だな。


「ファンタさん、その装備似合ってますね」


「ああ、これか?1005も金払ったからな。お似合いで当然さ」


そうか……ん?ファンタさん、何で「1005」の後に「円」とか言わないんだ?

まあ……良いか?……良いのか?聞いてみるか?失礼か?


「それより」


……まあ良いか。ファンタさんが話しかけて来た。


「もう敬語はやめてくれ。……「友達」って訳じゃないが……照れるから……」


ははーん。ツンデレって奴か。へへへ……照れてる照れてる。


「はーーーーーーーーーい!!!ナポリタン、カレーお待ち!!!!!」


あー、うっせぇ店員!!


「あ、カレーはこっちだ」


ふぁ!?ファンタさん気軽に話しかけてるぞ!?良いのか!?知り合いみたいになってない!?


「ナ、ナポリタン…はこっち……だ?」


「はい?」


「ナ、ナポリタンは……こっち……です」 


ああぁぁぁ……駄目だ。

「はい、ナポリタンね!どうぞ!」


「あ、ありがとう……な?ありがとう……ございます」


「……?」


店員さんは首を傾げながらカウンターに戻った。


いや……その……そんな顔しないでください。ただその……な、なれなくて……敬語を……。


と、とにかく!俺はナポリタンを口に入れた。

うげ……嘘だろ?不味い……うぇ……。

チラッと横を見ると、ファンタさんもうげっという顔をしていた。

いやいや、そりゃ不味いだろうなぁ。一体何で作ったんだ?

俺はコップの水を一気にカバッと飲み干した。ま、不味いのまだ残ってるぅ〜。


「そういえばさ」


ファンタさん……いや、敬語は良いか。ファンタはこっちを向いて言った。


「お前の名前聞いてなかったな」


「あっ、そうでしたね……いや、そうだったな」


「テッド」と言おうとした俺は戸惑った。

「テッド」……か……顔はフレイだよな?

でも良いか!フレイだって「テッド」って呼んでるし!


「テッドだ」


「へえ、名前は結構良いんだな。俺なんて「水」を意味する名前だぜ?」


「いやいや、素敵じゃないか」


「おう、ありがとな」


ファンタはカレーを食べ終え、水を飲んだ。

……よく食べれたな?

まぁ良いや。俺も食べ……終え……オエェ〜…。

俺も何とか…食べ終えた。

俺、コップで水何回飲んだかな?良いか、そんな事は。


「……おい」


「ん?」


ファンタは俺に話しかけて来た。てか、どったの?顔がマジ真剣なんだけど…。


「お前にどうしても話したい事がある」


「いいぜ。何だ?」


ファンタは言う。



「別世界転生って……知ってるか?」



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