7.俺の別世界転生 中編


「別世界転生って……知ってるか?」


「え?えーっと……え?何だよ、急に……いや、でも……えー……っと……」


うわ、上手く話せねー……。

「別世界に……転生?って事?」


「ああ」


ふーん、なるほど。

良く漫画や小説とか映画とかにある「異世界転生」みたいな奴か。

……てか、マジでどったのよ急に。


「別世界転生ってのはな、……まあ、正確に言えば「薄い」別世界転生だけど朝起きたら同じ街なのに色々違うとか、キャラが変わっている人もいれば、時には「自分」が他の人に変わっている時もある。それが「薄い別世界転生」だ」



………………。


俺は何も言えなかった。ただ、ファンタの言葉に耳を傾けていた。


「しかも、その世界に来たって事は、前の世界で死んでしまった訳だ」


………………。


…………。


……。


俺は何も言えない。


…………俺は…………。


……お、お、俺は……。


前の世界で---。


「…………死んだのか?」


「ん?何だって?おい、テッド?」


お、お、俺……俺は……死んだのか?前の世界で?自分で気づかないまま?死んだ……のか?天国に行ったのか?


「おい、おい!聞いてるのか?おい?!テッド!?」


俺は……此処は天国か?地獄か?地球か?火星か?土星か?月か?宇宙か?


……別世界なのか?


「おい!!テッド!おい!!!!」


俺は……俺が……!


俺は……「俺」なのか?


「テッド」なのか?


「テッド!!!!!!!!」


「はっ…!」


俺は我に帰った。

俺はさっきまで何を考えていたのか---


自分でも良く分からない。


「テッド……一体どうした?何かあったのか?」


「…………………」


まだ、何も言えなかった。


「…テッド?喋れよ………」


「………………………………………………」


俺は混乱して何も言えない。


「…………………………」


ファンタも何も言わない。ずっと喋らない俺に呆れたのか、コップの水を飲んでいる。


しばらく沈黙の時間が続いた。


すると、ファンタが口を開いた。


「……はあ。いい話し相手になると思ったんだけどな」


「………………え?」


俺もやっとの事で口を開いた。


「どうやらお前も俺と同じだったらしいな」 


ファンタはキッとこっちを見た。

その顔は真剣だった。


「……そうだよ。俺も、お前と同じ人生を歩んできた」


え?嘘……だろ?



「俺も----別世界転生した人だよ」




* * *


短いですけど、良い展開だったし続きは少し長いので応援宜しくお願いします。













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