3.妖術・乾かし?

…は?何だよこいつ?

色が水色?ま、まさか…お待ちかねのスライムかっ?

い、いや、でも液体だから違うか。

大体スライムなんてもんじゃないだろ、あの強さは。


「ゴフアアアアアアアアアアアア!!!!」


一度吠えると、液体は炭酸水を吐いた。

炭酸水が俺に降り注ぐ!


「いったぁぁぁあ!?」


た、炭酸いった!痛いってマジで!炭酸つっよ!

俺はさっと手袋を液体に向けてやった。


「おい、液体!その水色の!こっち向いて聞け!いいか、妖術にやられたくなかったらさっさとどっか行っちまえ!早く行った方がいいぞ!俺の「炎」を食らいたくなかったらな!」


よし。液体に言葉が通じるか分からないが、俺はぜっっっっったいにこいつには勝てない!!(弱音族)

だから、さっさと帰ってもらわないとな!


「さぁ、早k」


「ゴアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」


「どわああああ!?」


やべっ、変な声が出てしまった。

帰ってもらおうと思ったのだが、逆に怒らせてしまったようだ。

アハハ………最悪。


「ガアアアアアアアアアアアア!!」


また、液体は炭酸水を吐く!

もうその手には乗らないぜ!俺は避ける!見事に!(嘘)

いやいや、でも当たらなかったぞ!俺は成長ぶりは早いんだ!

さあ、お次はどんな手で来る!?


「そこの………お前だ………妖術師………攻撃……しないのか?だったら…弱いんだな?怯えてるんだな!?アハハハハハハハハ!!!雑魚がぁ!」


はああああ!?誰だ、誰だー!?雑魚っつったのはぁ!?

俺はばっと振り返ったのだが、そこには誰もいなかった。

…は?気のせいか?いや!今の笑い声はこの森に響いた!絶対気のせいなんかじゃない!じゃあ誰だ!?他の人達か!?くっそー、馬鹿にしやがって…。

いいぜ!攻撃してやるよ!俺は怯えてるんじゃないからな!違う意味で…。

……何だろうな。俺は一体何考えてたんだ?「食らってやるよ!」的な?

アハハ…かっこ悪いな…。


「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」


いや、うっるさ!!怪物感ありすぎだろ!

しょうがないなぁ、まったく…。

俺の妖術・丸焦げを食らえ!

俺は素早く手袋の「炎」のボタンを押した。

すると、ボッと火の玉が手袋から出て来て、液体に炸裂した。


「ガアアアアアアアアアアアアゴフアアアアアアアアアアアア!?」


はああ!?きいてねえ!液体も、「何だやんのか、テメコラ!」と言ってる様に、こっちを見ている。

液体まで…俺を馬鹿にすんのか…許さねぇ!

俺は連続で「炎」のボタンを押し続けた。


「ゴフアアアアアアアアアアアア!?…ガガガアアアアアアアアアアアア!」


おっ!きいてるのか!?きいてるらしいな!よっしゃあ!

液体はさっきまで俺を舐めてる様な声を出していたが、後から驚いた様な声をあげていた。


「オラア!トドメだ!」


「ゴフアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」


うるせぇえ!慣れるモンだと思ってたが、絶対慣れないよ、この声!

水色の液体は、さっきの液体と同じ様に、溶けてなくなった。


「ほう……………さっきまでの弱気は何処へ行ったのかな?……大体倒すのが…………遅い……すごく遅い!!お前なんかが魔王を倒す事が出来る訳がない!ハハハハハハハハハハハハ!!」


だから誰だあああああ!?さっきから愚痴愚痴と!うるせぇんだよ!


「ええい!うるさい、うるさい!大体お前は何だ、何者なんだよ!」


「おっ………中々良い気持ちの強さだな………だが………お前の様な雑魚に俺の名前を………教える訳ないだろ!アハハハハハハハハ!」


うわあああああ!何も言葉が出ない!くっそおおおおお!

次の瞬間、声はいっさい聞こえなくなった。

はあ…はあ…なんなんだ、さっきの…。

まあ、いいか?良くないけど。

はあ、炭酸水でドロドロな液体はおちたけど、今度はビショビショになっちまった。するとその時、何処からか声がした。


『妖術・乾かし』


すると、俺の体や服が一気に乾いた。


「おおっ、すげえ!」


声が聞こえたのは俺の帽子からだった。体に被害あったら、たちまち回復してくれるらしい。しかし…。


『それでは、一日待ってください』


そう言うと、帽子は茶色の色に変わった。


「なるほど。一回しか使えないのか」


回復には制限があるらしい。一度使ったら、明日まで待たなきゃいけないのだ。


「そうだ、朝食!」


食べるの忘れてた。お腹はぺこぺこだ。フレイに感謝しないとな。

俺はバックの中に手を伸ばした。あれ?俺にバックなんかあったっけ?

きっとフレイが朝食と一緒にくれたのだろう。あいつ、意外と優しいなぁ。

…フレイってそんな優しかったっけ?

まあ良いや。俺は朝食のパンにかぶりついた。

…味は色々と改善する所があったが、別に良いか。ハハ。

俺は朝食を食べ終え、立ち上がった。

よし、行くぞぉ!

……何処へ?

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