2.妖術・電撃

この顔って…フレイ?

俺がフレイの顔って事か?何でだよ?俺は「テッド」だぞ?フレイだってテッドって呼んでるし、どういうことだ?

顔だけではない、体も、手も、足もフレイそっくりだ。俺はまた変な夢を見てるのか?俺は自分の頬をつねってみた。痛ッ!あー、やっぱ夢じゃないのか…?

いやいやいや!じゃあ、あいつは何者だ!?た、た、他人か!?で、でも、あいつはフレイって呼んでも全然驚いてなかったぞ!?あーもういい!俺は今日は疲れてんだよ!また何処かで考える事にしよう!


「おい、テッド?どうしたんだ?」


フレイが俺の部屋に入って来た。


「いや、別に…」


「そうか?なら良い。おやすみ」


「ああ。おやすみなさい」


フレイは、俺の部屋をすぐに出て行った。

いやいや、あいつが他人だとしたら、何で俺の事知ってんだ!?

はあ、もう考えるのやめよう。こうして、一日が過ぎた。


「おい、テッド起きろ!皆に先越されんぞ!」


「うぼあっ!」


フレイはいきなり俺の上にドスンと乗っかってきた。


「ぐへ…痛いって、フレイ!」


あっ、フレイって気楽に呼んじゃった!


「へへへ、ごめんって!」


しかし、フレイは何も思わないのか、すぐに退いてくれた。やっぱり、何も思わないのか…?


「ほら、朝食!でも、ここでモタモタ食べてたら皆に先行かれるから、持って行きな!」


「あ、ありがとうございます…」


俺は朝食を受け取って、家を出かけた。


「ありがとうございましたっ!」


「おう!じゃあな!またいつか会おうなぁ!」


そう言ってフレイは、手を振って自分の家に戻った。

…はあ…。本当にあいつは何者なんだ?

まぁいいか。別に後で考えよう。

俺は帽子をかぶって、手袋をはめて、この街を出て行った。

そして目の前にあるのは…森?いきなり冒険感出てきたな…ん?ここに看板が?


『ここを抜けたら、新たな街に出ます。無事に行けると良いですね♪』


…何このメッセージ…。

しかし!俺は分かった!これは絶対敵とかなんか危険な物に遭遇すると!

俺は覚悟を決め、森に入った。やばい、かなりの勇気いるぞコレ…。

いやいやいや、最初のステージで怖がってちゃ駄目だろ俺!


「ゴワアアアアアアアアアアアア!」


どわああ!来たー!最初の敵は黒いドロドロとした液体いい!

…って、は?

液体?スライムみたいなもんか?でも、黒いしプニプニじゃないし…?


「ゴフワアアアアアアアアアアアア!」


どわああ!液体から声がああ!

液体はまた吠えると、でかい人の手の形にグニョンと変形した。

え?もう来ます?

液体が、手を振り回す!


「ゴフアアアアアアアアアアアア!ゴアアアアアアアアアアアア!」


しかも、声がうるさい!耳がキーンとなる!ホラーかよ!

あっ!

そう思っていると、ネバネバした手が俺に炸裂!


「いったぁ!?ちょっ、おまっ、やめろってば!」


うわっ、掴まれた!しかも力強っ!巨人なみじゃねーかよ!

そうだ、妖術!って、俺の手が掴まれたままだぁ!

絶体絶命って、初めてだぁぁ!

いや、マジでやばい。ここは力づくだ!うおりゃあああああああ!

…案外簡単に抜けたな?しかも両手。

俺は急いで「雷」のボタンを押した。くらえぇぇ!

と、同時に液体が溶けだした!?うえ〜、服がベトベトだ。

いやいや!そんな事どうでも良い!おりゃああ!電撃ー!!


「ゴフアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


最後まで、ずっとうるさいなお前は!

そして、電撃を食らった液体はドロドロと溶け出して、やがて一雫もなくなった。

よっしゃああ!この勝負、俺の勝利だああ!


「ウゴアアアアアアアアアアアア!」


…は?まだ生きてるのか?

振り返るとそこには--!

…水色の液体がいた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る