第59話

「ようやく消防車の強制停止機構発動条件について、ひと段落した」


カナデさんのグラトニー対策装置の数々の使用実験を終わらせてからすぐに法律とかそう言うのが得意そうな人たちを集めて。グラトニーから世界を守るためとは言え、世界中に兵器をばら撒きまくるにはその後の混乱を招くことになる。

かと言って兵器をばらまかないと世界が滅びかねない。

今まではグラトニーにしか効果のないものをばら撒くことで、対グラトニー以外の戦力増強をさせないという方法をとっていたけど。

グラトニーが本気で攻めてくる時は数百、数千万単位で攻めてくる高いとなると。

今までの対グラトニー用の兵器では殲滅力が足りずに押し切られてしまう。


じゃあ、グラトニー対策兵器の性能を上げればいいじゃんって話だけど。

それをすると、グラトニー以外にも使い道が出来てしまう。

近隣の魔物対策とかぐらいだったら好きに使ってくれて構わないんだけど。

侵略戦争とかに使われてしまうなんて事になったら最悪だ。


でも、それぐらいの性能は無いとグラトニーには対応できない。

グラトニーとの戦いが全部終わった後に全部回収して回るってのも考えたけど。回収に回っている間に兵器として使われる可能性が有るし。

回収しに行った結果その国と俺で戦争が始まる可能性もある。

負けるつもりなんて更々ないけど。

関係の無い人まで巻き込まれる戦争なんて引き起こしたくない。

じゃあどうすればいいの?考えていると、カナデさんが既に解決策を用意していた。

こちらが決めた条件以外の使い方をした時に使えなくしてしまう強制停止機構。


24時間365日監視するなんて難しくない?

隙を疲れる可能性もあるんじゃないの?

と思ったけど。監視は風の精霊もしてくれるらしい。

空気が存在する場所には必ずいるから最強の監視員なんだよな。

後は人口生命体のグラちゃんも監視すると聞いて、隙をつくのは無理だなと納得した。


強制停止機構の停止だって、この世界にいる人の技術力じゃ無理だ。

カナデさんは魔法はこの世界ほど発展してないけど。科学と魔法どちらも存在する世界で何十年も研究をしていた天才博士だ。

この世界の技術とは根本が違う。強制停止機構を停止できるようになるには、まずカナデさんが使う技術の基礎を習うところから始めなきゃ行けない。

どんな天才でも10数年はかかるんじゃないかな?

万が一強制停止機構を停止させてもその動き自体を察知したら潰しに出向けば良いだけだし。


自分で亜空間を作り出して暮らしているドライアドの薔薇の女王みたいな存在が手を貸すとちょっと厄介だけど。

薔薇の女王自体は手を貸すわけがないし。

フロンのギルドマスターが空間を広げたりできるけど。

あのぐらいだったら風の精霊たちの監視からは逃げられない。


「問題は風の精霊に仕事を頼みすぎて、1部水の精霊達が拗ね始めてるってことだな」


風の精霊の監視が便利すぎて風の精霊に仕事を色々頼みまくったせいで、自分たちには全然仕事頼まないのにと水の精霊達が拗ねてしまった。

ついでに地の精霊に建築を頼みまくったのも原因だろう。

だって俺も水の精霊だしわざわざお願いしなくても自分で何とか出来ちゃうんだよね。

風の精霊と地の精霊に頼んでいることは俺に

出来ないことを頼んでいる訳だし。


ディアーネさんにはなんでもいいから仕事を頼めば良いんですよ。自分たちの王が自分たちではなく他の連中にばかり仕事を頼んでることに腹をたててるだけなんですからと言われた。


どこかで爆発されても嫌なので何か仕事をお願いしようと考えて入るんだけど中々いい案が思いつかない。

全く意味の無い賽の河原的な仕事をさせるのは可哀想だし。


それに全く仕事を頼んでない訳じゃないんだよ。畑の水やりとか生簀の管理とか仕事自体はそれなりにお願いしている状態ではある。

最近、水の精霊以外の精霊に仕事を頼むことが目立っているだけで仕事量自体は水の精霊たちの方が多い。


「そのことまだ悩んでたの?それならコウダイくん研究所に水の精霊を派遣して欲しいんだけど。機械を作るには綺麗な水が絶対必要だから。水の精霊が付き合ってくれるなら作業がだいぶ効率化される」


丁度いいな。後で後でやりたい人いるか確認取りに行くか。

拗ねてる水の精霊達が意地になって仕事しないとか言い出さないかちょっと心配だけど。

多分大丈夫だろう。


「それじゃあ、私は研究所に帰って消防車の量産を始めるから。コウダイくん水の精霊の件任せたよ。効率がすごい変わるからできるだけ早く派遣してね」


そう言ってカナデさんは研究所に帰っていく。

これはすぐに水の精霊達に話を持っていかなきゃダメみたいだ。

消防車はできるだけ量産しなきゃダメだし。


案の定、最初の方は何を今更とツンツンした態度で仕事なんてしませ〜んって感じだったけど。

数十分に及ぶ説得で無事納得してくれたので、比較的短い時間で説得が終わった。

今から研究所に行ってくれるみたいだし、これでカナデさんも喜んでくれるはずだ。




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