第60話

「最低限の準備はこれで出来たかな」


カナデさんがかなり無茶をして消防車を量産してくれたので、かなりの量を用意することが出来た。

後は伝手を使って交友のない国に配り回るために世界中を飛び回った。

行ったことのない場所がほとんどだし。転移魔法が使えなかったので、どうしても時間がかかってしまった。

グラトニー対策兵器についての説明もサッと終わる方が珍しかったし。

世界全体で見ればまだ1度もグラトニーに襲われてない場所の方が多い。

なのでグラトニーの脅威をしっかりと理解出来ていない国が多かった。

見捨てても問題ないなら説得なんてしないんだけど。

グラトニーは取り込んで増えるので、話を聞かないからと見捨てると、こちらにも影響が出てしまう。


どれだけ説得しても理解しない国もいたけど、それは仕方ないと割り切ることにした。

その国と隣接している国は飛んだトバッチリを受けることになるので、他の国より多めに兵器をばら撒くことで何とか対応してもらう。


今まではグラトニー側もこっちの実力を調査している感じだったから、多くても一度に出現する場所が2桁いくことは無かったけど。

今度の侵攻は2桁は余裕だろうし3桁ぐらいの場所で同時に現れてもおかしくないと思っている。

しかも1箇所に数十万から数百万のグラトニーが攻めてくる。

そう必死に説明したんだけど。全然こっちの話を聞いてくれなかった。


まぁ、こっちの話を全く聞いてくれない連中を相手にしている時間はない。

上が話を聞かないせいで、これから大変なことになるだろう国の人達が可哀想だなとは思うけど、俺が手をだしたりすると国は当然それを問題視してくるだろうし。

自分達でどうにか逃げてくれとしか言いようがない。


更に今から動いても手遅れになる可能性が高いし。

カナデさんが消防車を作り始めてから既に3週間が経過している。フェムトがカウンターで与えたダメージの回復もそろそろ終わるだろうと予想されているので、いつグラトニーが攻めてきてもおかしくない状況だ。

なので今から避難を始めても遅いという事だ。


それに問題なのはグラトニー対策兵器を受け取らなかった国だけじゃない。

受け取った国も早速バラして仕組みの研究を始めた国や侵略戦争に使おうとした国がでてきた。

既に強制停止機構大活躍だ。

ちなみに一度強制停止機構が発動させたら二度と解除するつもりは無い。

解除したってまたすぐ同じことをするだけだろうし。

分解して構造を確かめようとするのは、グラトニーを倒した後なら許可するって予め言ってあるのにそれすら待てないとは…


一度分解したら自分たちで組み立てられないんだからグラトニーと戦う前にバラしちゃダメだよ。


「正直、グラトニー達が諦めてこの世界からいなくなってくれればそれが1番良いんだけどな」


色々準備はしたけど、戦闘にならないのが1番だ。


「どうかな?他の世界でさらに強くなって帰ってくるかも知れないし。今のうちに倒しちゃう方が僕はいいと思うけど」


今攻めてこなくても、それはこの星を諦めたんじゃなくて力をつけるために他の落としやすい星を侵略しに行くだけ。

グラトニーはこの星を落とすために絶対に戻ってくる。だったらパワーアップされる前に倒した方が良いと言いたいみたいだ。


「それもそうか。でも、グラトニーの対処が終わったら1ヶ月ぐらいダラダラすることにする」


なんか今回凄いあちこちを動き回ることになってしまったので、全然休みの日がなかった。

グラトニーが襲いに来る直前に進めていた。アラクネ達の洋服屋さんの開店作業だけは頑張るけど、それ以外は何もせずにダラダラしよう。


「イスカと約束した妊娠する確率をあげる薬もあるし。家でダラダラするのが丁度良いよ。確率を上げると言っても1回で妊娠するほど確率を上げるものじゃないから」


そういえばそんな物の話もしてたな。

妊娠する確率が極端に低いリバイアサンである。イスカが妊娠する確率が上がる薬が欲しいって話。グラトニーを倒したら用意してあげるってフェムトが言ってたな。


「それにしても…いつになったらグラトニーが攻めてくるんだろうね?」


この部屋にはフランも居るので、そう言う話を続ける訳には行かないので強制的に話を変える。


「何時だろうね〜。まぁ、いつ来てもすぐに対応できるように最近はずっとこの部屋に集まってるからね。そろそろ飽きてきるよね」


グラトニーがいつ攻めてきてもすぐに対応できるように皆でこの部屋にこもってるからな。


グラトニーが攻めてきた時バラバラの場所にいるとそれだけで対応が一歩遅れちゃうから、仕方ないけどね。


「おっと。タイミングが良いね。世界各地の空に空間の裂け目が現れた。皆を話し合ってた通りの場所に転移させるよ」


ほんとなんの脈絡の無く現れたな。

事前に話していた通り妻たちは各々故郷に転移。俺は海上などの人がいない場所に現れたグラトニーを対処することになっている。


バラバラに行動するのはちょっと心配だけど。皆のことは信用しているし、手早くグラトニーを倒して合流しよう。



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読んでいただきありがとうございます。



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