第47話


「流石に対グラトニー薬剤ではなく予想外のものは無かったか」


ここまで来たら何か予想外のものがあって欲しいとかちょっと思っちゃったけど。


「これで準備は大丈夫だな。早速転移で向かうか」


今回の事件が起きた場所は運良く近くに行ったことがあったので、転移で向かうことができる。


「リア様はお連れにならないのですか?」


「リアを連れていった方が良いのは理解できるけど。リアは戦うの得意じゃないし。今回連れていくのはなって俺は思うんだよね」


リアは今回事件が起きたソールシュルテンの王族。俺と一緒に現場に行くべきなのかもしれないけど。リアはあまり戦闘が得意ではない。最低限の自衛ができるレベルだ。

魔法が苦手って訳では無いんだけど。

攻撃的な魔法を使うのが苦手。


「キュアノス島の基準が高すぎるだけで、リア様も十分戦えてると思うのですが…」


確かにグラちゃんの言う通りでは有るけど。

俺的には戦闘させるのは心配と言うか…

リア自体、戦闘を積極的にしたいって人じゃないし。


「まぁ、マスターがリア様に一言も告げず行くと言うなら無理に止めることはしませんが。今回のことを事後報告でリア様が知った時どう思われることか…」


「うっ」


リアだけじゃなくて他の奥さんたちにもお小言を頂いてしまうこと確定だ。

大人しくリアに連絡をとることにした。


「と言ってもリアがどこにいるか分からないんだよね」


念話を自由に使えれば良いんだけど。

こっちから念話を使えるのはフェムトと世界神様しかいない。

なんだかんだ言って長距離通信ができる魔道具がまだ無いんだよね。


厳密に言うと持ち運べるサイズの長距離通信用の魔道具がないだ。


アイは他の作りたい魔道具が有るからって長距離通信用の魔道具の小型化には手をつけてなかったはずだ。

やっぱり不便だし今度頼んでおこう。


「恐らく自宅でマスターのことを待っているのでは?今回の件マスターが伝えなくても精霊たちやフェムト様によって伝えられている可能性が高いですし」



確かに…と言うか普通俺にしか報告しないってことは無いよね。

恐らく俺のところに風の精霊が伝えに来てくれたのと同じタイミングでみんなの所にも風の精霊が伝えに行っていたと考えるのが普通だ。


「うん、一度家に帰ろう」



このまま向かうのは絶対にまずい。


「おかえり。今回はギリギリセーフだったね」


家に帰ると当然のように全員が防具を着て準備OKの状態で待っていた。


「ははは…」


帰って来てなかったらガチで説教だったなこれ。


「だってこの後、ダンジョンに潜ることになるのに1人で行こうとするとかどう言うつもり?最下層まで行くなら1日じゃ絶対たどり着けないだろうし。今回はグラトニーに乗っ取られていて何が起きるのか予想ができないダンジョンなんだよ?」


なんか自然な流れでフェムトのお説教が始まってしまった。

残念、お説教を回避することはできなかった。


まぁ、ぐうの音も出ない正論なので大人しく怒られるけど。


「最低限シャルちゃんは連れていくべきでしょ?コウはマッピング出来ないんだから」


「冒険者ギルドからマップを買うか貰えれば良いかなって」


「それ冒険者ギルドとはちょっとギスギスしてるのに大丈夫なの?」


「流石にコレを妨害してくることはないかな〜って思ってたんだけど」


「それにグラトニーに乗っ取られた時点で、大幅なマップが行われて、冒険者ギルドの地図が全く役にたたない可能性だって有る」


あっ。

それについては全く考えてないかった。

その対策にシャルを連れていくのは絶対だったな確かに。


「まぁ、今はお説教している時間が勿体ないし、ここまでで終わり。ニーズがそろそろ世界樹の防衛に集中したそうだし」


大前提としてニーズさんがグラトニーの相手をしてくれるだろうと。

慌てて移動してなかったけど。

あくまでニーズさんなら動くだろうと言う予想だけで、実際に確かめて無かったけど。

ちゃんとニーズさんが対処してくれていたらしい。



「ようやく来たね」


「色々物資が必要かなって思ってそれの用意をしてたんですよ」


グラトニーに乗っ取られたダンジョンの近くに転移すると。

ニーズさんが周りの人に指示をだしながらグラトニーの残骸の片付けをしている。

ニーズさんもグラトニーが現れてすぐに救援に来た訳じゃないのでダンジョンのある街は少なくない被害を受けている。


「それじゃ仕方ないか。それじゃあ私は世界樹に帰るからね」


俺たちが到着した為、自分の役割は終わったと言ってニーズさんは世界樹に帰って行った。


「したら、物資を配るのはリア、イスカ、メル、マルタ、コノハ、アイ、エリーゼにお願いしていい?俺、フィア、シャルでダンジョン行ってくるから」


ダンジョンに潜る組の方が人数多い方が良いんじゃないの?と思わなくも無いけど。

炊き出しとか、街のあと片付けの方が大変そうだし。


みんなもそれで問題ないでしょうって感じだったので、領主への挨拶をリア達地上組に任せて早速ダンジョンに入っていった。



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読んでいただきありがとうございます。

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