第48話
「正直、ダンジョン内を自由に変えることは出来ないと思ってたんだけどな〜。ダンジョンでなにかするには、ダンジョンポイントが必要なはずじゃん?」
ダンジョンに入ると全て金属でできた森が広がっている。
見た目だけが変わっている訳じゃなくて、ダンジョンに入った存在を金属に変換しようとするおまけ付きだ。
ダンジョンに入って靴が金属に変わり出したので、急いで権能を使って対処した。
セラスからダンジョンについて聞いている限り、ダンジョンの中身を変えたり、魔物を出したり何をするにもダンジョンポイントが必要なはず。
グラトニーがダンジョンを乗っ取った時点で残っていたダンジョンポイントを全部使ったとしてここまでの変更をする事って可能なのかな?
「実際問題変わってしまってるんだから出来るんだとしか納得するしか無いだろう?」
まぁ、そうだよね。実際、ダンジョンが大改造されてしまってるんだから。
大改造ができるぐらいのダンジョンポイントが貯められていたか、グラトニーはダンジョンポイント関係なしにダンジョンを弄ることができるのかどちらかだ。
「階段見つけました。10分も走れば到着する距離です」
ダンジョンの広さ的なものはあんまり変わってないみたいだ。
このダンジョンは1階ごとは対して広くないけどその代わり階層数が多いダンジョンだと聞いている。
階層数をさらに増やされている可能性もあるって考えると面倒臭いな、それだけはやめて欲しい。
ダンジョンって入口がある地下にある訳じゃなくて、亜空間的な場所なので。
たまにある地面に大穴を開けてショートカットとか言うことは出来ない。
「正直このダンジョンで寝泊まりなんてしたくないけど。無理だよね〜40階有るみたいだし」
このダンジョンにいる間は金属に変えられてしまわないように権能を使い続けないといけない。そんな場所で睡眠をとるとかものすごく嫌だ。
けど、40階まで1日で行くのは流石に無理。
少なくとも2日はかかる。
寝るためのコットとかも金属に変えられちゃうだろうから、それにも権能を使わなきゃいけないし。
「まぁ、それは諦めるしかないですね。できるだけ早く進むために進みましょう」
こうやって話してる時間が勿体ないか。
なんだかんだ行ってさっきからグラトニーも集まってきてるし。それにしても数が尋常じゃないんだけど。リソースってほんとにどこから来てるんだろう?
数百体単位でこちらに向かってくるグラトニーを迎撃しながら、階段一直線でダンジョンの攻略を始めた。
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ー地上組ー
「とりあえず。私たちがやれる事をしますか。私、アイ、コノハで炊き出しをしますので、マルタ、メル、イスカ、エリーは瓦礫の撤去とか怪我人の救助と治療をお願いします」
コウさん達がグラトニーからダンジョンを取り戻すためにダンジョンに入っていった後、
私たち地上組が出来ることを始める。
「瓦礫撤去とかを私たちが手伝った方が早いのはわかるけど。コウさんはみんなの護衛って意味で私を地上組にしたと思うんだよね。それを考えるとバラけて動くのはどうかなって思うんだけど…」
コウさんがイスカをダンジョン組にしなかったのは十中八九、地上で何か起きた時に私たちに被害が出ないようにする為だろう。
イスカならダンジョン組でも問題ない訳だし。
コウさんからしたら戦闘面で頼りないには分かりますが、1番戦闘が苦手な私でも王宮魔導師レベルの実力はあるんですけどね。
もうちょっと戦力として信用してくれてもいいと思うとちょっとだけ思っちゃいます。
「イスカの言うこともわかるけど。街で何かが起きたとして。イスカが駆けつけるまで時間を稼ぐぐらい最低限できるつもりだよ」
「まぁ、そうだよね。じゃあ大人しく私たちは街の復旧作業の手伝いに行きますか。自由にやっちゃって良いの?」
「もちろんです。なんか言ってきたら私の名前を出してください。もしくはコウさんの名前を出せば黙ると思います。領主はしっかりした人なのでそこまで面倒なことは起こらないとお思いますけど…」
魔物の素材が回収できるダンジョンが存在する街は国の大きな資金源なので、任命する領主の選定には凄い神経を使う。勿論選定後の調査も他の領地より厳しいので。
ダンジョンが近くにある街の領主は比較的まともな人が多い。
…それでも、不正を上手いこと隠してやらかす貴族もいるので絶対とは言えませんけど。
悪徳貴族ごときに皆さんがどうにかなる訳が無いのですが。特にイスカをキレさせた結果街が消失とか怒ってしまったら目も当てられないので、本当に大人しくしていて欲しいです。
領主はまともでも他の貴族はまともじゃないことだって有りますし。
そう言うやつに限って、イスカに喧嘩を売ったりするんです…。
今から胃が痛くなってきましたけど。
悪徳貴族を減らすいい機会として納得しましょう。
正直、こう言う言い方は嫌ですけど。
こっちが何もしなくてもあっちからやって来ますからね。
まぁ、1番怖いのは私たちに絡んできた貴族がいたと聞いたコウさんですが。
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読んでいただきありがとうございます。
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