第34話
ここに気配に敏感な動物か魔物がいて、その存在が特別な風景を見せてくれるってことかな?
出来るだけ、襲おうとしてきた魔物だけビビらせるつもりだったんだけど…。
大人しく待ってれば戻ってきてくれるかもって言ってるし大人しく待ってるか。
「ちなみに焚き火とかして大丈夫かな?」
まだ夜ご飯食べてないから、料理でもしながら、待ってようかなと思い、焚き火をしても大丈夫か確認する。
焚き火にびっくりして、俺たちに綺麗な景色を見せてくれるなにかが帰ってこないとか有り得るし。
「あまり大きいものじゃなければ大丈夫」
許可も出たので、焚き火の用意を始める。
岩は周りにいっぱいあるし。薪も収納魔法にいっぱい入ってるのでそれを使う。
最初は薪として世界樹の枝を取り出したけど。流石にここまでやる必要は無いと普通の木の枝を取り出す。
トライポットをたてて鉄鍋を吊るす。
今日はほうとうを作ろう。
あとは川魚の串焼き。
川の横で焚き火をするならやっぱり川魚の串焼きは食べないと。
串うちと塩振りを済ませた物を収納魔法にしまってあるので、それを取り出して焼くだけだから、ほうとうを作っている間に焼き上がるだろう。
収納魔法は時間が時間が止まってる訳だし。
完成したものを入れておけば良いのでは?と思うかもしれないけど。
このロケーションで料理するのも楽しいので、下準備を済ませた料理を幾つかストックしている。勿論そんな余裕が無い時にもすぐに食べれるよう、調理済みの料理もストックしている。
「なにか手伝うことある?」
料理をしていると、椅子に座って待っていたエリーが手伝えることがないか聞いてくる。
エリーは普通に料理ができる人だったはずだけど。
2つとも忙しく面倒を見る料理じゃないので、特に手伝って貰うことはないんだよね。
俺も後は殆どやる事ないし。
「後はほぼ待つだけだから特に無いかな」
やることが無くなった2人は星空を眺めながらぼーっとしている。
「そう言えば、今まで何も疑問に思わなかったけど。なんでオリオン座とか俺が知っている星座があるの?」
今までそこまで気にせず、星空綺麗だな〜ってたまに星空を眺めていたけど。
ふと、なんで異世界なのに俺の知ってる星座にそっくりの星座が?と疑問に思った
異世界なんだから、同じ星座が有るっておかしくない?それとも異世界とは言っても別の次元に存在するという事じゃなくて。地球と同じ宇宙にこの世界は存在するとか?
そうだとしても地球で見た時と全く同じ星座の見え方と言うのは可笑しいだろう。
そこら辺は神様がなにかやってるんだろう。
この世界は宇宙が存在しなくて今見えてる星空はハリボテとか。
それを知ったところでなにか変わる訳でもないしどうでもいいか。
そこから40分ほどたまに魚をひっくり返したり、鍋をかき混ぜたりしてようやく料理が完成する。
「料理を作っている間には帰ってこなかったね」
料理を作っている間には、この清流に何も変化は起きなかった。
「こういうときってご飯を食べ始めるとタイミング良く?現れたりするよね」
むしろタイミング悪いのか?
「コウがそういうこと言うからホントに帰って来ちゃったじゃん」
えっ?とほうとうから目線を外して周りを見渡すと、蛍のように発行する虫?が辺りを飛び回っていた。
これは中々幻想的だ。
ただ、お尻部分だけではなく全体が発光していて、色も何色もある。
「これは確かに、夜にここに来る価値がある景色だ」
「気に入って貰えて良かった。魔界の調査でここで野営した時に偶然コレに出会ってから偶に見に来るんだ。現れない日もあるけど」
作った料理を焦がしたり、冷めちゃったりしないように一旦収納魔法にしまう。
そうやって作業をしていると光る虫が手の甲に止まる。
どうやら、この虫は魔物じゃないみたいだ。魔力を全く感じない。
そしてよく見るとてんとう虫が光っているらしい。
LEDライトとか人工的な光だと合わないけど。焚き火の光と光るてんとう虫の相性は個人的に悪くない。
光るてんとう虫にライトアップされた景色を一通り楽しんだ後、収納魔法にしまった料理をもう一度だして、晩御飯を食べた。
帰ってから食べても問題なくね?とも思ったけど。折角ならここで食べようってことで、食べてから村に帰還した。
「お帰りなさいませ。無事に光虫の発光を見ることはできましたか?」
エリーに渡した魔道具の起動実験も兼ねて、魔道具の転移でエリーの家に帰ってくる。
レムさんは俺たちの帰りをしっかり待っていてくれたようだ。
「ただいまレム。しっかり見れたよ」
「確かにあれは綺麗だった。今までわざわざ夜に森とかに出かけたりしなかったけど。今度からは定期的に夜の探査をしても良いかなって思ったぐらいだ」
夜限定の綺麗な風景が沢山有るだろう。
それに良く考えれば、夜限定の素材とか有るもだろう。
ちょっとゲーム的な考えかもしれないけど。
夜になると活発的に活動を始める魔物もいるんだから、有り得る話だ。
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