第35話

「起き上がれない…」


昨日の夜はエリーと同じベットで寝たわけだけど。いつの間にかエリーがお腹の部分に覆い被さるように寝ていたので、目が覚めたけど起き上がることが出来ない。

エリーは結構寝相が悪い人らしい。

それでもベットから落ちないんだから無駄に器用だ。

とりあえずシャワーだけでも浴びたかったんだけど…。

もう起こしちゃうか。


「おーいエリー起きろー」


声をかけただけでは起きなかったので、体を揺すって声をかける。


「…おはよう」


五分ぐらい揺すって声をかけ続けてようやく、まだ半目の状態でまだ眠そうなエリーがムクリと起き上がった。


「あー、コウの上に乗っかっちゃってた?

ごめんね?」


目を擦りながら自分の寝ていた場所を見て俺の上で寝ていたことに気づいたらしい。


「おはよう。寝てる間は気になら無かったから別に気にしなくて良いよ。まぁ、このままじゃ起きれなかったから起こしたけど。体調は大丈夫?」


「ちょっと変な感じがするぐらいで、特に体調が悪いとかは無いかな」


その後はシャワーを浴びて体を綺麗にしてから、冒険用の防具を装備する。

周辺調査でkになるところを見つけたらしいけど。自分たちだけだと危険だと判断した場所が有るらしく。

そこの調査を俺とエリーで行うので、最初からしっかり防具を着用。


防具と言ってもニーズヘッグの抜け殻を錬金術で布に加工して、それを使って作った服なのでいつも着ていても見た目は普通の服と変わらない。


汚れ防止機能もついているので、日常でも普通に着ていたんだけど。

いくら汚れ防止機能がついてるからっていつも同じ服なのはどうなの?と言う意見が多かったので、普段はちゃんと防具じゃない普通の服を着ている。


ちなみに普通の服もアラクネ達の糸から出来てるので、じゅうぶん防具として活躍出来る性能を持っていたりする。

流石に俺の着てる防具より優秀ってことは無いけど。

エリーの着ている防具よりは優秀だろう。


「エリーにピッタリのサイズの物が有れば着てもらうつもりだったんだけど。ピッタリ合うのが無かったんだよね」


エリーはいわゆるロリ巨乳なので、ちょうどいいサイズの服は持ってなかった。

グラトニーが現れる前はアラクネの服屋さんを開業する準備をする予定だったから、アラクネ達が作った服を男性用 、女性用関係なしに沢山収納魔法にしまってあったから、1着ぐらいあるかな?って思ってたんだけど。

無かったね〜。


「おはよう。コウ、エリーちゃん」


遅い朝食を食べているとフェムトが転移してきた。


「昨日頼まれてた収納魔法が付与された指輪ね。頼まれたのはマジックバッグだったけど。こっちの方が使いやすいでしょ?」


あ〜昨日念話で頼んでいたマジックバッグを持ってきてくれたらしい。それも普通の物より使いやすくして。


「後は防具ね。ちゃんとフィアちゃん達とお揃いのやつだよ」


防具まで用意してくれたみたいだ。と言うかマジックバッグは頼んだのに、防具は頼んでおかなかったって過去の俺は何をやってるんだろう。


それにしても、どちらか片方だけでも。

一日で完成するものじゃ無いんだけど、両方とも用意してくるって、流石フェムト。


「色々と自重をしてないから、おいそれと外に出せない装備だけど。エリーも家族になる訳だしね」


神様が作った装備だし、言っちゃえば神器だからね。国宝とかそんなレベルの騒ぎじゃない。


朝ごはんもちょうど食べ終わっていたので装備を着替えるためにエリーは1度自室に帰った。


「グラトニーの新しい動きは無さそう?」


世界神様やフェムトの見立てでは、約2週間ぐらいはこちらの世界に干渉することは出来ないらしいけど。何か起きる可能性もゼロじゃないし。話は聞いておかないと。


こっち側のグラトニー対策がどんな感じで進んでいるか確認しておく必要も有るし。


「グラトニーたちに関しては大人しい。

無理に干渉しようとする様子も無いみたいだし。無駄な労力は使わないって事なのかな、2週間待てば今無理に干渉しようとするよりは、楽に干渉出来るわけだし」


今のところ2週間の間は本当にグラトニーの襲撃は無さそうか。

その間にグラトニー側も対策してきそうだ。

特に金属融解液とか。

2週間後にグラトニーと戦う時は金属融解液が全く効かなくなってるって可能性も考えておいた方がいいかもしれない。


「ちなみに金属融解液以外に新しくグラトニーの金属を錆びさせて脆くさせる物も出来たよ。これは液体状と粉状2種類あって使いやすい方を選べるよ」


「新しい対策武器も開発出来たんだね」


俺は変わらず液体の方が使いやすいかな。

水属性の魔法で自由に動かせるし。

逆に粉の方は風属性の魔法で風といっしょに戦場に散布するとか色々使い道がありそう。


「そろそろ、着替えが終わったエリーちゃんが帰ってくるだろうから、僕も帰るね」


「明日、ダンジョン町の方で暮らすギルド関係の人がキュアノス島に来る予定だから。今日の夜はそっちに帰るよ。今のところエリーも連れていく予定」


「それなら歓迎会の準備しとくね。じゃあね〜」


フェムトが帰ったのとほぼ同時にエリーが帰ってくる。


ご飯も食べ終わってるし、今日の夜にはキュアノス島に1度帰るので。

探索の時間を確保するために急いで村の外に出かけた。



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読んでいただきありがとうございます。

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