第30話
「不束者ですがよりしくお願いします」
プロポーズをするつもりで来たと言っただけで、プロポーズ自体はまだなんだけど。
全てすっ飛んでプロポーズが成功してしまった。
まぁ良いか。
「これからよろしくねエリーゼ」
「うん!という事で、私コウのお嫁さんになるから魔王引退するね!レムを後任の魔王に任命するから、後はよろしく!」
いやいや、そんな簡単に決められることじゃないだろう。
「何馬鹿な事言ってるんですか?
コウ様とのご結婚は心より祝福しますが。
それとこれとは話は別です。エリーゼ様が魔王を辞めるとかなったら、確実に魔族が分裂します」
この村に来てからでは無く。悪いことをしていないのに世界の敵として全ての生き物から命を狙われていた時からみんなを纏め守って来たエリーゼだ。
魔族からの人気はすごく高い。
それこそエリーゼが指名しようと他の人物が魔王になるなんて話になったら暴動が起きるぐらいに…。
「でも、コウに告白されて結婚する訳だし。いつもこの村にいれなくなるんだから、誰かに魔王を引き継がなくちゃでしょ?」
「せめて、魔王は引き続きエリーゼ様にして頂いて、エリーゼ様がいない場合代わりに決定権をもつ、魔王代行を任命する。コレで我慢してください」
結婚するから、エリーゼはキュアノス島暮らすことになるし、そこら辺に話はしっかり決めないといけないよね。普通は。
ただ、アイの転移魔法が使える魔道具が有るので、今回はエリーゼがそのまま魔王を続けて貰える。
俺がエリーゼと結婚したいって言ったんだから、出来るだけ問題が起きないように対策するのは当たり前だ。
「あ〜。真剣な話をしているところ申し訳ないけど。その問題を解決出来るように、転移魔法が使える魔道具をエリーゼにプレゼントするから。昼はこの村で仕事、夜はキュアノス島って事が可能だから、普通に魔王を続けられるよ」
「この世界には転移魔法が使える魔道具は存在しないと聞いていましたが。存在したんですね?それがあれば、エリーゼ様に今まで通り問題なく魔王を続けて貰えますね」
魔族達が元々暮らしていた世界には使い捨てだけど。転移魔法が使える魔道具がそれなりに普及してたから。こっちの世界にも存在するのかって聞かれた事があったけど。
その時はまだアイが転移魔法が使える魔道具を開発してなかったし、無いって答えたんだったな。
今のところアイしか作れないし。普及させるのは無理だけどね。
「いやいや。こっちの世界では転移魔法が使える魔道具って超レア物なんでしょう?そんな高価なもの。ただ、キュアノス島とこの村を使う為だけに使うなんてダメでしょう!」
「気にしない気にしない。エリーゼと結婚する為ならこれぐらい、いくつでも用意するから」
「そう言う話じゃ無くて…」
「もしかして、合法的に魔王の仕事をしなくて済むとか思ってる?」
何となくそう言って見るとエリーゼが分かりやすくギクっと反応する。
「エリーゼ様?」
「ちなみに、この転移魔法が使える魔道具。妻のひとりが作った物だから。素材さえあればそれなりに作れるものだから。世界的には貴重な転移魔法が使える魔道具も俺からしたらそこまで貴重な物じゃないんだ」
「はぁ、わかったよ。そのまま魔王を続ければ良いんでしょ?で、レムは今日から魔王代行ね。私がいない時は村のこと頼むよ。まぁ、今までと対して変わらないね」
一瞬だけ残念そうな顔をしたけど。普通に魔王を続けることに同意した。
エリーゼのことだから。もし、魔王をやめてキュアノス島で暮らすことになったとしても数日でこの村のことが気になって帰ってくることになると思うけどね。
「じゃあ、早速ビーコンを設置しよう」
この転移魔法が使える魔道具はビーコンのある場所に転移するという物なので、ビーコンをこの村のどこかに設置しないと、この村に転移することは出来ないことを説明する。
「それなら、村の端に専用の建物を建てましょう。それが出来るまでは取り敢えずこの部屋に設置しましょう」
「じゃあ、エリーゼ。コレがビーコンなんだけど、セットに腕輪と同時に魔力を流しながらビーコンを起動して貰える?」
これは転移地点を決定するビーコンを勝手に移動させられた場合の対策の為だ。
ビーコンと腕輪同時に同じ人が魔力を流さないと転移地点の設定ができない様になっている。もし、勝手にビーコンを移動されたりした場合、そのビーコンは転移地点として機能しないようになっている。
「色々考えられてるんだね」
「ビーコンを地中とか水中に移動させられたら大変だしね。最低限対策は必要だよ」
「それはやだね。じゃあ、早速私の仕事部屋を転移地点に設定っと」
エリーゼがビーコンを起動させて転移地点の設定を完了させる。
「じゃあ、僕達はキュアノス島に先に帰るから、コウはゆっくり帰ってきてね」
最長でも2週間いないには帰ってきてね。と言ってフェムトたちはキュアノス島に帰って行った。
ここから先はエリーゼと2人でと気を使ってくれたみたいだ。
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